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【夕焼けエッセー】淡雪のような

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 「下心はありませんよね」

 そんな失礼な電話で始まったお付き合い。そう8年くらい続いたでしょうか。大阪と青森で。昨年の晩秋、突然その赤い糸がプツリと切れてしまいました。

 「紅玉(こうぎょく)が好きよ」との私の言葉に彼はせっせとりんごを送ってくれました。お米や長芋も、夏にはメロンやスイカまで、りんごの一つ一つに名前のシールを貼って30種類ものりんごを頂きました。早生りんごからサンフジまで本当のりんごの味を知ってほしいと。

 私たちは川柳を通じて知り合ったのです。その頃彼は奥様を亡くし私は夫を亡くして3年くらいの時だった。川柳以外に彼は書道にも精通され「巻紙の手紙が欲しい」と言うとすぐに素敵な巻紙のラブレターが届きました。3度もおねだりしました。川柳の柳誌交換をし、川柳談義をし、使い放題だからといつも彼が電話をくれました。

 時には料理の仕方も教え合ったりひとり身の気安さで会話が進みお互いのひとり居を楽しくさせ寂しさを感じることなく過ごしました。大阪で3度、青森で1度デートしたのです。

 そんな日に終わりが来ることはずっとずっと先のことだと思っていたのに突然やってきたのです。今頃は彼のいない無呼吸のお家は大雪に囲まれているだろうと想像している。まっ白の雪の中でねむっているのでしょう。春には目覚めてくださいね。待っています。

 西堀暁子(74) 大阪府八尾市

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