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【日曜に書く】消えた本屋と珠玉の言葉 論説委員・山上直子

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天牛堺書店の天下茶屋店のシャッターに貼られたメッセージ=大阪市西成区
天牛堺書店の天下茶屋店のシャッターに貼られたメッセージ=大阪市西成区

 「会社帰りのささやかな幸せでした」

 「いつもおじいちゃんと二人でたくさんの本をかいました。本屋さんがなくなったのですごくさみしいです」

 「繁華街のメガ書店やカフェ併設のおしゃれ書店よりも、天牛堺(てんぎゅうさかい)書店が大好きでした」

 「古本の中から好きな本がないか探すのがとても楽しかった。子どももいろんなジャンルの本に興味を持てるようになったのは天牛さんがここにいてくれたから」

 「75歳のおばあさんです。長い間、ありがとう」

 どのメッセージも、温かくて切ない。先月、経営破綻で閉店した大阪・西成の本屋に贈る言葉から拾った。

 ◆突然の閉店

 「閉じたシャッター あふれる感謝」

 6日付の朝刊(大阪本社版)にこんな記事が掲載された。取材したのは、大阪総局の中井美樹記者。長年、地元で親しまれた名物書店「天牛堺書店」(堺市)が先月28日に突然閉店し、その後、同店の天下茶屋(てんがちゃや)店の閉じたシャッターに、感謝の言葉をつづった付箋が次々と貼られて注目を集めたのだ。

 「突然だったのでショックを受けた人が多かったようです」という中井記者も、なんだか涙目である。実は、昔から別の駅の店でよく本を買った客の一人だったそうだ。同店は昭和38年に開業。大阪南部を拠点に12店舗を展開し、新刊本と古本を併売するちょっと変わった本屋で親しまれた。

 なんだ珍しくもない、よくある小さな書店が閉店しただけじゃないかと思われるかもしれないが、経営破綻が明らかになった当初、「天牛」という名がちょっとした混乱を招いてニュースが拡散した経緯がある。

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