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前明石市長暴言、賛否拮抗のなぜ 辞職の背景を探る

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前明石市長の暴言で市に寄せられた声
前明石市長の暴言で市に寄せられた声

 兵庫県明石市の泉房穂(ふさほ)前市長(55)が国道用地の買収をめぐり、市幹部に「(物件を)燃やしてしまえ」などと暴言を吐いた問題が発覚し、今月初めに辞職した。弁護士の肩書を持つ首長による犯罪を示唆する暴言に当初は批判が殺到。ただ、その後は発言の“真意”に理解を示す声が盛り上がり、電話やメールで市に寄せられた意見の総数は賛否が相半ばする。「暴言辞職」から9日で1週間。その背景を探った。(坂田弘幸)

 暴言があったのは平成29年6月14日。泉氏は市幹部を市長室に呼び出し、JR明石駅近くの国道2号交差点付近の雑居ビルの立ち退きが進んでいないことに激高した。「楽な商売じゃ」とどなり、「今日、火付けてこい。火付けて捕まってこい」などと発言した。

 今年1月29日、この暴言が報道されると、市役所には抗議の電話やメールが相次いだ。「市長が放火を指示するなんて犯罪だ」。市に同日寄せられた意見計385件のうち、9割が泉氏を批判する内容だった。

 暴言が入った音声データは1月下旬、産経新聞を含む報道機関や政党関係者に出回った。収録時間は1分38秒。データには「泉市長暴言火をつけて燃やせ」とタイトルが付いていた。

 だが、関係者によると、暴言には続きがあった。

 「市民の安全のためや」「私が行って土下座でもしますわ」

 この後半部分が地元紙のサイトで報じられると、インターネットなどで泉氏の擁護論が浮上。市への意見も30日には批判派425件に対し、肯定派が401件と肉薄し翌31日には肯定派が批判派を逆転した。

 その最中の2月1日、泉氏は突然辞職を表明。翌2日に市議会で辞職が同意された。泉氏は出直し市長選の出馬について「まだ考えられない」と明言を避けたが、ある市議は「風向きが変わり、次も見据えた決断ではないか」と推測する。

 第2子以降の保育料無償化などの支援策が奏功し、近年は人口が増え続けている明石市。こうした施策とは対照的に泉氏の発言は再三物議をかもしてきた。

 27年には作家、玉岡かおるさんからフォーラム参加を依頼された際、泉氏は「(フォーラムは)税金の無駄遣いや」などと発言。昨年には兵庫県が明石市や近隣市を擬人化したアイドルが登場し、地元・東播磨を自虐する動画を作成したところ、泉氏が「明石市は今や日の出の勢いだ」と猛抗議する騒動になった。

 今回、暴言を受けた市幹部は取材に「これまでも厳しい言葉を言われたことはあった」と証言。別の職員は「暴言などへの自衛策で会話を録音することは日常茶飯事だった」と認める。

 泉氏を煙たがる職員もいたうえ、3選出馬を表明した次期市長選を目前にした時期の問題発覚とあって、音声データ流出と選挙との関係性を疑う声もある。

 東洋大の藤本貴之教授(メディア論)は「自治体の長の発言としては、『勢い余って』であっても決して擁護できない暴言」と強調。一方で「一部を切り取った音声データをもとに最初に報じられた後、残りの部分が報道されると、流れが変わった。同じ『事実』でも、どう提示するかで印象が真逆になり得ることを示した」と指摘している。

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