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【夕焼けエッセー】私だけのゴミ箱

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 余命8カ月のがんと宣告され、懸命な治療も及ばず、入院してわずか2カ月足らずで昨年のお盆には帰らぬ人となってしまった主人。それも私の誕生日に、お通夜を営むことになった。

 世の既婚女性は、生まれ変わったら主人ではなく別の男性と、そして男性は、生まれ変わっても今の奥さんと結婚したい-という話は、世間一般に聞く話です。

 私もご多分に漏れず、友達とのランチの席で、お互いの主人の不平不満の話に、花を咲かせていたものだった。

 人の悪口は一切言わず「嫌なことがあれば、いつでもゴミ箱になってあげるから、ストレス発散しいや」と言って黙って聞いてくれていた。私も意見が欲しいときは、後から聞かせてくれるようにお願いしていたので、けんかすることはめったになく、自慢の主人でした。

 そんな優しい主人だったのに、私はなんて愚かな嫁だったのかと、自責の念に駆られる思いとともに、生まれ変わればもう一度主人と結婚したいと思う気持ちでいっぱいです。

 亡くなってこそ、その人のありがたみがわかるとは、よく言ったものだと改めて痛感しています。今は、ひたすら主人の冥福を、心から祈るばかり。

 お父さんありがとう。そしてごめんね。遺影の主人は、にっこり笑っています。

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