PR

産経WEST 産経WEST

【夕焼けエッセー】就職失敗

Messenger

 二十数年続けてきたニット加工の自営業を、昨年の11月半ば、突然辞めることになった。ボイラーの破損が原因だったが、大きな故障を起こしたスチームプレス機もいずれ近いうちに買い直す必要もあると思うと、「もう閉めよう」と、私が夫を説得して決まった。

 そうと決めると、次の就職先を探したり、借りていたガレージを元の姿に戻す必要がある等、急ぎ動かねばならなかった。ガレージの修復は、先の台風の影響で業者さんが中々決まらないものの、夫も私も人様の好意で、11月中には仕事に行き始めるようになった。

 私をパートとして雇ってくださったのは、隣市にある手作りケーキのお店で、大きな通りに面しているわけではないのに、友人に話すと知っている人が多いのに驚いた。「その店のプチシューを買うの息子にも頼むねん。まあ頑張り、そのうち行くから」と言ってくれた友人もいた。「来年なら慣れてるかも」と答えた。

 ところが1カ月で辞めてしまった。かわいらしく、または美しく仕上げられたケーキの数々は、見ても楽しいものだ。お客さまも、実にうれしそうに迷ったり決めたりされて、そのお顔を見る私も幸せをいただくことができた。ただ、その想いとは裏腹に、そそっかしい私は度々ミスをした。注文の受け方を間違える。焼き菓子の包装が遅い。他の人が軽々と持ち上げられる、何層も重ねられたお菓子の入れ物を動かせない。極めつきはケーキを売り物にできなくしたりして。この先が、思いやられる。

前田輝美(61) 大阪府岸和田市

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ