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【夕焼けエッセー】「じいじ」と呼ばれて

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 ある程度の年齢に達した女性がまったくの他人から「おばあちゃん」と呼ばれ気を悪くしたといった話を聞くことがある。でもそういうのは女心の問題のみならず、男の場合でも同様だ。それなりに年をとった現実があったとしても、他人から「そこのおじいちゃん」などと言われれば腹が立つだろう。

 幸い私はまだそういう経験はないのだが、何年か先にはあるかもしれない。そのとき「おじいちゃん」も嫌だが、もし「じじい」などと言われたならもう絶対がまんできないことだろう。

 ところで、近頃は孫から「じいじ」と呼ばれている人が多いようだ。かねて私は「じいじ」と「じじい」は言葉のうえで実にまぎらわしいと感じてきた。確かに一字違いで大違いの言葉の事例はいくらでもある。それでも私は孫には「じいじ」はご勘弁、できれば「おじいちゃん」もやめてほしいと思ってきた。

 ではなんと呼んでもらうか、名前を短縮した愛称はどうか。それとも英語をもじり「グランファ」はどうだろう。考えはなかなかまとまらないでいた。

 そうしているうち家に来ていた孫娘が2歳を前に突然私のことを「じいじ」と呼んだ。言葉らしきものを口にし始めていることは知っていたが、誰に教えられたか確かに「じいじ」と。その瞬間、今風の大げさな言い方をすれば、感動の嵐が吹きまくった。

 「じいじ」上等、もう「おじいちゃん」でもなんでもよい。孫娘のつぶらな瞳を見ては、潔さの欠けていた自分を恥じている。

難波亘由(65) 神戸市北区

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