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「小豆買います」奈良の老舗和菓子店、苦肉の新聞広告

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昨年11月1日の産経新聞に掲載された「小豆買います」の広告
昨年11月1日の産経新聞に掲載された「小豆買います」の広告

 「小豆買います」。産経新聞をはじめとする全国紙の奈良版に昨年11月、こんなうたい文句の広告が掲載された。広告主は「名物みむろ」で知られる奈良県桜井市の最中(もなか)専門店「白玉屋榮壽(えいじゅ)」。あんこの原料となる県産小豆の調達がおぼつかなくなり、やむなく買い取りを呼びかけたところ、生産者からの売り込みや問い合わせが殺到、かき入れ時の年末年始を無事に乗り切ることができた。背景にあるのは県産小豆の作付け減少だが、同社は「未来へ明るい道筋が見えた」と希望を見いだしている。(藤木祥平)

 大神(おおみわ)神社の大鳥居そばに店を構える白玉屋榮壽は、弘化元(1844)年創業の老舗。みむろは、上質な甘さの濃厚なあんを香ばしい生地で挟んだ最中で、日持ちすることから奈良の定番土産としても人気がある。年末年始には1日に数万個売れることもあるという。

 「かつて奈良は、江戸にも聞こえし小豆の産地だった」。7代目の石河敏正社長(60)は話す。近畿では京都府や兵庫県で生産されるブランド小豆「丹波大納言小豆」が有名だが、同社は創業当初から奈良県産の「大和大納言小豆」にこだわっている。県産小豆は知名度こそブランド小豆に譲るが、石河社長は「皮に弾力があり、香り高く風味が豊か。丹波産にも決して劣らない」と力を込める。

 だが、そんな県産小豆が危機にひんしている。全国的に見れば、小豆の作付面積は近年横ばいだが、県内は減少傾向にある。

 県の調査によると、平成26年に小豆の作付面積は42ヘクタール、収穫量は25・2トンだったが、28年にはそれぞれ29ヘクタール、16トンと減少。昨年も収穫量は芳しくなかった。専務の石河敏和さん(31)は「農家の高齢化も原因。天候にも取れ高が左右されやすい」と分析する。

 同社は毎年11月1日に、小豆ともち米の収穫に感謝する新聞広告を掲載してきた。しかし、昨年は県産小豆の確保が難しいとして、「小豆買います」と題した広告を出すことを決意。作付けが減少している現状などを説明しつつ、「貴方がお作りになられた小豆を当社にお譲りいただけませんか」と呼び掛けた。

 反響は上々で、掲載から1週間で寄せられた買い取り希望や問い合わせは30件に上り、終日対応に追われた日も。敏和さんは「確かな手応えを感じた。来シーズンにつながる」と話す。

 みむろは原材料、配分とも江戸時代の創業当初のままだ。「古くからあるものだけを使っているが、時代遅れの味とは思わない。上質な甘さを感じてもらうため、伝統的な製法を守る努力を続けていく」。石河社長はこう話している。

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