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【理研が語る】研究には夢がある! 京極博久

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理研の京極博久氏
理研の京極博久氏

 僕が研究者になったきっかけはジュラシックパークという映画だ。琥珀(こはく)に閉じ込められた蚊から恐竜のDNAを採取してワニの卵子に注入し、恐竜を復活するという夢のあるストーリーである。小学生ながら恐竜が復活する可能性があるというだけでワクワクし、いつか恐竜をよみがえらせたいと思ったのを覚えている。

 科学の力はすごいもので、一昔前は無理だと思われていたことが次々と実現してしまう。しかし、恐竜に関して言えば映画が公開されてから30年近くたつが、残念ながら現在も復活していない。

 琥珀の中のDNAは500年で情報の半分を失ってしまうので数千万年前の恐竜時代のDNA情報は限りなくゼロに近くなってしまうのである。しかし、永久凍土中などの比較的保存環境がよい場所で保存されているDNAには情報が多く残っており、マンモスなどの絶滅生物の再生はクローン技術などを用いることで現実味を帯びてきている。

 そんなことから遺伝子工学や発生生物学と呼ばれるものに興味を持ち、今は卵母細胞を用いた研究をしている。卵母細胞は卵子の元となる細胞であり個体になれる唯一の細胞である。また、体の中で一番大きな細胞で、普通の体細胞に比べて100倍以上も大きな体積を持つ。

 個体に「発生」するためのエネルギーをためておくために大きな細胞であることは非常に重要なのだが、その大きさゆえに細胞分裂においては遺伝情報が書き込まれている染色体を分配するのに失敗が多い細胞であることも分かってきた。卵母細胞の体積を半分にすると染色体分配は失敗しにくくなり、体積を2倍にするとより失敗しやすくなったのだ。

 すなわち卵母細胞は、不安定な染色体分配という犠牲を払い、個体への発生能力という大きな能力を得ているということである。卵母細胞が染色体分配において失敗しやすい原因を解明できれば、それを補ってやることで失敗しない卵母細胞を作れるかもしれない!?

 研究とは世界中の誰も知らないことを発見するという非常にワクワクする仕事である。その発見は世界中の研究者と共有され、誰もなしえたことのないことを実現させるための鍵になるかもしれない。言い換えてみれば、僕が卵母細胞の研究をすることで、絶滅生物の再生に一役買うかもしれない。いつかは、恐竜復活の夢が実現するかもしれない。そんなことを考えながら日々研究を行っていると、小学生の時に感じたものと同じワクワクを感じることができるのである。

 京極博久(きょうごく・ひろひさ) 理化学研究所生命機能科学研究センター染色体分配研究チーム・基礎科学特別研究員。神戸大学大学院農学研究科資源生命科学専攻修了・博士(農学)。小さいころから研究者になるのが夢で、大学院に入って以降は研究に没頭している。研究は天職だと思っている。

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