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【石野伸子の読み直し浪花女】複眼のコスモポリタン陳舜臣(4)台湾で放映「怒りの菩薩」複雑な政治…半世紀前に歴史ミステリー調で提起

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 大橋さんは戦時下の上海と日本近代文学との関わりを調べており、近作「昭和文学の上海体験」は平成30年、第26回やまなし文学賞を受賞している。

 「陳舜臣さんが当時の上海の文化状況を細かく情報収集していることに驚きました。90年代になって研究が進んだ分野をいち早く取り入れ、作品に生かしているのですから」

 近現代の日本と中国への細かな目配り。それを大衆性を帯びたストーリーに落とし込む筆力。陳舜臣作品の魅了はそこにある。作家はまず推理仕立ての物語にその力量を発揮したが、やがて筆は推理作品の枠組みからはずれ、歴史そのものに向いていく。

 その経緯について、陳舜臣はこんな風に語っている。

 「私は物書きになる前から、アジアの近現代史に関心をもち、いろいろと資料を集めていた。書くテーマはおのずからその方面にしぼられる傾向があり、処女作の『枯草の根』は、日中戦争に根ざした人間模様の葛藤をえがいたミステリーであった。評論家は私の仕事を、歴史とミステリーの二つの流れをもつと解説しているようだ。私にしてみれば、両者をあまりはっきりと分類したくない気持がある」(平成5年出版芸術社版『炎に絵を』あとがき)

 つまり、手法が推理小説であれ歴史小説であれ、アジアの近現代史こそ自分の書きたいテーマである、と宣言している。

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