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【阪神大震災24年】視覚障害者支援へシステム開発 

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避難所の情報を音声で伝える「音声案内システム」の試作品を試す視覚障害者ら=昨年8月、神戸市中央区
避難所の情報を音声で伝える「音声案内システム」の試作品を試す視覚障害者ら=昨年8月、神戸市中央区

 災害弱者の視覚障害者を支援しようと、阪神大震災を経験した神戸市の企業やNPO法人が、避難所内のさまざまな情報を自動音声で案内するシステムの開発を進めている。視覚障害者は震災当時、避難所で次々に紙で張り出される救援物資などの情報を把握できない苦労を経験。24年を経た今も支援体制は不十分なままで、障害者らはシステム普及に期待している。(中井芳野)

 「誰もが生きるのに精いっぱい。自ら助けを求めることはできなかった」。約30年前に遺伝性眼病「網膜色素変性症」で全盲となった神戸市須磨区のマッサージ師、南実さん(71)は震災当時を振り返る。

 南さんは自宅アパートが半壊したが避難所に向かわず、アパートにとどまった。避難所で一時生活していた視覚障害者3人も南さんのアパートに身を寄せた。3人からは「給水や炊き出しの情報も掲示板に張り出されるだけで不安だった」「用を足しても処理を誰かに頼まざるを得ない」といった苦労を耳にした。

 南さんは「目からの情報を遮断された状態で災害に直面する恐怖は言葉で言い表せない。誰の助けも借りず、避難所で生活するのは無理だ」と訴える。

 阪神大震災では長引く避難所生活で関連死が相次ぎ、災害弱者に対する避難所の不十分な支援体制が指摘された。以降、バリアフリー設備を整えた「福祉避難所」が全国に設置されたものの、平成23年の東日本大震災でも、視覚障害者のトイレ利用や救援物資の情報把握が課題にあがった。28年の熊本地震では、多くの福祉避難所が機能しなかった問題も明らかになった。

 このため、障害者就労を支援する神戸市のNPO法人「アイ・コラボレーション神戸」は、視覚障害者が避難所で過ごしやすい環境を整えようと模索。同市の音響機器メーカー「TOA」とともに避難所内の情報を音声案内するシステムを開発することにした。

 特定の記号を紙に印刷して床などに張り付け、障害者がスマートフォンの専用アプリを起動させ、記号にかざせば、「段差があります」「右にトイレです」と音声で知らせてくれる仕組み。5千種類以上の音声パターンを用意し、利用者自ら新しい記号や音声を作成することもできるという。同法人理事の北山ともこさん(43)は「紙に記号を印刷するだけなのでコストもかからず魅力的。精度を高めて全国に広めたい」と意気込む。

 今後、視覚障害者約50人が参加して実証実験を行うほか、神戸市立須磨海浜水族園でも試行し、本格的な普及を目指す。南さんは「音声案内システムは心強い。一人で抱えるしかなかった避難所の不安も、少しは取り払われるはず」と喜んでいる。

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