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【防災その先へ】(4)最新技術 前兆を可視化 意識変える

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 実験では屋外イベントの降雨対策に役立ったとの報告も。2020年東京五輪に向け、屋外競技を実施するかどうかの判断に活用することも目指している。

 「傘が全く役に立たず車の運転が危険」とされる1時間50ミリ以上の雨の発生は近年、増加傾向にある。

 気象庁によると昭和51~60年の10年間での発生回数は年間平均で約174回だったのに対し、平成20~29年では同約238回と約1・4倍に増えた。21世紀末には、20世紀末から2倍以上増加するとの予測もある。

 警戒が必要なのは土砂崩れも同じだ。26年の広島土砂災害や昨年の西日本豪雨など、猛烈な雨が土砂崩れを引き起こし、多数の犠牲者を出したケースは枚挙にいとまがない。

 そこで神戸大学の芥川真一教授(地盤工学)らが開発を進めるのは、地表の傾きを検知し、光の変化で人に危険を知らせるLED(発光ダイオード)内蔵の装置だ。平常時は青色のLEDだが、地面につけられたセンサーが傾きやゆがみを検知すると、赤色などに変化する。

 「災害には前兆がある。まずは前兆を可視化する仕組みが重要だ」と芥川教授。崩落事故の防止目的ですでに国内外の建設現場などで導入が進んでおり、芥川教授らは、自然災害にも応用しようと模索している。

限界集落の実験

 こうした最新テクノロジーと住民の意識を結びつける実験が、北陸の限界集落で進められている。

 福井市高須町。65歳以上の高齢者が半数以上を占め、一帯は福井県の土砂災害警戒区域(地滑り)に指定されている。ただ大きな災害に見舞われた経験に乏しく、住民の防災意識は決して高くなかったという。

 そこで関西大などは29年から崖崩れなどの恐れがある場所に地滑り検知装置を設置し、住民の対応を検証する実験を始めた。狙いは、最新鋭の装置を日常に紛れ込ませ、住民の防災意識を自発的に高めることだ。「情報の受け手側から発信者側に。装置は住民の防災意識をこう変える可能性がある」。実験に取り組む関大社会安全学部の小山倫史(ともふみ)准教授は力を込める。

 「お年寄りが多いエリアなので土砂災害があったら大変。(装置に)何か変化があったら、いち早く自治会長に知らせたいと思っている」と話すのは、ウオーキングのたびに装置の状況を確認している住民の旭(あさひ)政子さん(74)。「防災への意識も変わった」と受け止める。

 小山准教授らは今後、こうした住民参加型の防災のあり方の検証を進める方針だ。新たな時代を迎える中、命を守る最新技術の生かし方は、住民が鍵を握っている。

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