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【平成という時代 アイドル社会学(2)】ネット社会 SNSの中で生きている

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ファンたちはアイドルとの握手など「身近さ」のほか、SNSでもつながりを求めている(イメージ)
ファンたちはアイドルとの握手など「身近さ」のほか、SNSでもつながりを求めている(イメージ)

 「大好き」「最高!」「次の公演も絶対行く」

 アニメに登場するアイドルを声優らが体現したコンサートの直後、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)には、ファンたちが続々と投稿した。「会場持ち込み禁止物をもっと取り締まって」「(スケジュール過密な)声優さんに休暇をあげて」など、運営主体への注文もある。

 アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」に登場するアイドルグループの声優で神戸市出身の高槻かなこさんは、「SNSでは手紙以上に素直な意見を送ってくれる。その気持ちをくみ取って、よい作品を作りたい。ファンもメンバーの一人です」と話す。自身のSNSへの投稿を連日欠かさない。

 アイドルたちは今、SNSの中で生きている。ファンとアイドルはネットを通してはじめて濃厚につながる。

 「インターネット」が新語・流行語大賞の一つに選ばれた平成7年頃から、ネット社会は急速に開花した。その約10年後には、ユーチューブやツイッターができ、スマートフォンも普及した。人と人がネットでつながるSNS。アイドルたちは発信し、ファンは感想を述べるようになった。

 昭和50年代前半を席巻したピンク・レディーのミー(現・未唯mie)さん(60)は「私たちが若い頃はメークやファッション、髪形まで事務所に決められていましたが、今の若い子たちはSNSで気の利いた話もできるなどのスキルが必要。自分自身をマネジメントする力にたけていなければ生き残れない」。

 ファンにとっても、「テレビが生み出したアイドルだけでなく、ネットを通して自分でアイドルを見つけ出せる時代」と、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター客員研究員の境真良氏は解説する。

 大きく口を開けた恐竜のぬいぐるみ「かみつきラプト」。昨年10月、福井県の「知名度が今ひとつだった」(同県担当者)公式キャラクターのグッズが爆発的に売れた。

 立役者は平成17年に本格的に日本進出した韓国の人気アイドルグループ。公演で同県を訪れた際、SNSに「恐竜にかまれた」というコメントと、ぬいぐるみの口に手を入れた写真を投稿すると、ファンが殺到。あっという間に売り切れた。県担当者は「ネットの影響力は本当にすごい」と驚く。

 “韓流”と呼ばれる韓国発のアイドルは13年、歌と踊り、ルックスの三拍子そろったBoA(ボア)を皮切りに、東方神起や少女時代、KARA、BIGBANG(ビッグバン)やBTS(防弾少年団)が世界進出を果たした。「ネットで『K-POP(韓国ポップス)』と検索すると、国を越えて映像がどんどん出てくる。こんなすごい子たちがいるんだと拡散した」と、韓国大衆文化に詳しいジャーナリスト、古家正亨氏は話す。

 韓国では、デビュー前から海外進出を視野に厳しい訓練を重ねる。パフォーマンスの完成度の高さは、ネット映像の配信にもマッチしている。未熟な状態でデビューし、ファンと成長を共有するツールとしてSNSも使い、身近さを売りにする日本のアイドルとは対照的だ。

 古家氏は、「一糸乱れぬパフォーマンスは美しい。音楽を『見て』楽しむネットの時代にうまく合った」と分析する。

 一方、ネットを使って共感を広げるスタイルは、アイドル界を複雑化させた。

 境氏は、「テレビに出られないとアイドルになりたくてもなれなかった時代とは違い、ネットで活動し、『アイドルです』と名乗れば誰でもアイドルになれるようになった」。自身で写真や動画を配信、ライブ会場を自前で手配してチケットを手売りするセルフプロデュースのアイドルなども急激に増え、その数は「3千組以上ともいわれるが、もっと多いのでは」という。

 「こんなにも多いと、何かに抜きんでた存在にならなくては」。地下アイドルの経験もあるアイドル、眉村ちあきさんは会社を立ち上げて「社長」という肩書をネタにしたり、ユーチューブに公式チャンネルを持ち、ライブ動画のアップを続けたりし、話題を呼ぶ。「とにかくフル活用です。新しいツールをどれだけ駆使できるかがカギ」

 ネットはアイドルの価値観をがらりと変え、思わぬアイドルの“戦国時代”を招いた。

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