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擬人化ブームに歴史あり、刀剣男士、艦娘に日本の伝統

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日本刀が擬人化したキャラクターの登場する「刀剣乱舞-ONLINE-」(c)2015-2018 DMM GAMES/Nitroplus
日本刀が擬人化したキャラクターの登場する「刀剣乱舞-ONLINE-」(c)2015-2018 DMM GAMES/Nitroplus
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 日本刀を美男子に擬人化したキャラクター「刀剣男士」が、今年の「NHK紅白歌合戦」(NHK総合)の企画コーナーに出場する。オンラインゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」の登場キャラで、ゲームは女性を中心に人気を博し、ユーザー数は450万人超。一方で旧日本海軍を中心とした艦船を美少女に擬人化したキャラクター「艦娘(かんむす)」を集めて戦うゲーム「艦隊これくしょん-艦これ-」は男性に人気で、どちらも一大ブームを巻き起こしている。刀剣や艦船の擬人化と聞くと奇妙にも思えるが、「物に名前をつける日本の伝統の延長線上にある」と近畿大の清島秀樹教授(現代文化論)は話す。

■名付けで愛着と付加価値

 日本人が名前をつけてきた物は刀や楽器、茶器などと多岐にわたり、「パソコンが普及しだした頃には、自分のパソコンに名前をつける人もいた」と清島教授。名前をつけるようになった理由については「『万物に魂が宿る』という考えからという説もあるが、正直、よく分からない」としながらも、「名前をつけることで、他の物と差別化されて愛着が生まれ、付加価値が付く」と分析する。

 神話に登場する「草薙剣」にはじまり、日本刀には「大典太光世(おおでんたみつよ)」や「数珠丸恒次(じゅずまるつねつぐ)」、「鳴狐(なきぎつね)」や「蛍丸(ほたるまる)」といった作り手や伝説などにちなむ名前がつけられ、現在に伝わっている。

 「刀剣乱舞」は、これらの名刀が戦士になった「刀剣男士」を集めて敵を討伐するゲーム。平成27年のリリース直後から爆発的な人気を呼び、アニメ化、ミュージカル化された。紅白に出場するのは、ミュージカルで活躍するグループだ。

 刀剣男士が生まれたのは「もともと刀に名前がついていたからこそ」と清島教授。「西洋では歴史上の偉人が使っていた剣に名前がついている、なんていうことはありません」。

■名付けの伝統、現代にも

 日本と西洋とでは、刀剣の使い方も異なった。刀剣は合戦で使うとすぐに刃こぼれするため、「剣がメインウェポン(主武装)の西洋では使い捨ての武器。だが日本のメインウェポンは弓矢や槍で、刀はあくまでサブウェポン。実戦で使われることはあまりなかった」。武器よりも象徴としての意味合いが強く、家臣らへの贈り物に用いられることもあったという。こうした刀の“出自”や“人生”は、刀剣男士のキャラ設定にも反映されている。

 刀に名付ける文化は現代にも続く。「アニメやゲームに登場する武器にも名前がついていることが多いでしょう。海外では『ストロングソード』とかです」。

■明治天皇の一声?

 一方で、艦船に名前をつける文化は日本だけのものではない。しかしその名付け方に、「艦娘」を生み出すことができた理由がある-と清島教授はいう。

 「艦これ」は艦娘を集めて艦隊を編成し敵と戦うゲーム。艦娘は、航空母艦や駆逐艦、潜水艦といった艦船が擬人化された、いわゆる“萌(も)えキャラ”だ。

 海外の艦船は、「アイゼンハワー」や「ビスマルク」のように、歴史上の人物などから名付けられたものが多い。だが日本には「大和」「伊勢」などの地名、「夕立」「初雪」「島風」といった天気や自然から名付ける伝統がある。

 その理由を、清島教授は「伝説ですが」と前置きしてこう話す。「明治時代、艦船にどんな名前をつけるか議論になった際、神話や歴史上の人物の名前をつけるという案もあったが、明治天皇の『人の名前はつけない』という鶴の一声で決まったとされている」

 推理作家ながらサブカルチャーの評論家でもある近畿大の小森健太朗准教授も艦これにハマり、艦船に詳しくなったという。魅力の一つは史実をベースとしたキャラ設定にあるという。例えば駆逐艦の夕立は夜戦で活躍したと伝えられており、夜戦での攻撃力が強く設定されている。他にも潜水艦によって沈められた艦船なら『潜水艦に気をつけて』というセリフがあるなど、「史実を調べると理解が深まり、より関心が高まる」と語る。

■思想や細胞まで

 近年の擬人化は刀剣や艦船にとどまらない。日本酒の具現化として3年前に生まれたのは「ShuShu(シュシュ)」というキャラクター。日本酒を盛り上げたいと始まった企画だ。

 各地の蔵元と松本零士氏ら複数の作家がタッグを組み、これまでに「田酒泉心(たさかせんしん)」「春香鹿音(はるかかのん)」など17のシュシュが誕生。伝説などをもとに、生い立ちや性格など細かくキャラ設定されている。運営するキャラクターグッズ製造販売「コイン」(東京)は「作家のファンの若い方たちが、日本酒に触れて好きになるきっかけとなっている」と喜ぶ。

 さらに『萌えて学べる!! 思想コレクション ○○主義、○○イズムを擬人化!』(カンゼン)では、民主主義はメイド、功利主義は女医などと、さまざまな思想をキャラクターにして解説。他にも擬人化を使った教材は数多く出版されているが、清島教授はその利点を「興味を持ちやすく、また特徴の視覚化で理解もしやすい」と分析。実際に体内の細胞を擬人化した漫画『はたらく細胞』(講談社)は、授業で活用する学校があるほどだ。

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