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経営難の近江鉄道、老朽化でミュージアム閉館へ

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屋外に展示されている電気機関車。譲渡予定の数両を除きすべて解体される=滋賀県彦根市
屋外に展示されている電気機関車。譲渡予定の数両を除きすべて解体される=滋賀県彦根市

 近江鉄道(滋賀県彦根市)は、車両などを展示する「近江鉄道ミュージアム」を、8日の「感謝祭」を最後に閉館する。明治31年の開業から120年間、地域の「足」を支えてきた同鉄道だが、レールや駅舎は老化し、鉄道事業は24年連続赤字続きだ。各地でローカル線の廃線が相次ぐ中、走行音から「ガチャコン電車」と親しまれている同鉄道もまた、岐路に立たされている。(川瀬充久)

 同鉄道彦根駅構内にある同ミュージアムは、大正9年建築の木造建物を改修し、平成19年にオープン。館内には駅名看板などの資料を並べ、屋外には大正時代製造の電気機関車などの実物車両も展示。毎月1回無料公開され、人気を集めてきた。

 改修を重ねながら使用してきたが、今夏相次いだ台風で窓枠の一部が落下し、安全性を確保できない状態に。雨ざらしの車両も劣化が激しく、社員有志が車両を塗り直すなどしてきたが、こちらも「安全面でも限界」だという。

 こうした状況から、同鉄道はミュージアムの閉館を決定。資料は別の駅での展示を検討するが、車両は譲渡、廃棄されることが決まっている。

 老朽化が問題なのは、ミュージアムだけではない。駅やレールなどの設備や車両の修繕費は年々増加し、29年度から10年間の設備投資費は19~28年度の1・5倍に膨れあがる見込みだ。

 同鉄道の鉄道事業は6年度から24年間連続で営業赤字が続き、29年度は過去最大の約3億5千万円の赤字を計上した。好調のバスや不動産、観光事業で補填(ほてん)しているが、今後も鉄道事業の赤字拡大が見込まれることから昨年、沿線自治体に支援を仰いだ。

 県と沿線10市町は7月、国や自治体が支援を主導する「地域公共交通活性化再生法」に基づく法定協議会を来年度末までに設置する方針を決定。近江鉄道や国土交通省近畿地方整備局を加えた準備会を今月末に立ち上げ、具体的な調整を始める。

 ただ、具体的な運営方式などは現時点では白紙。同県内では25年、信楽高原鉄道が甲賀市との「上下分離方式」に移行した。線路などの施設保有と鉄道運行を別主体にする仕組みだが、近江鉄道の場合、沿線自治体は5市5町あり、各自治体の思惑は微妙に異なる。

 沿線距離が最長の東近江市は「近江鉄道の存続を前提に地域活性化計画を策定している」とするが、信楽高原鉄道を抱える甲賀市は「具体的な数字が出ていないので何ともいえない」と慎重な姿勢を崩さない。一方、県はBRT(バス高速輸送システム)やLRT(次世代路面電車)などの導入も視野に入れており、近く試算が示される見込みだ。

 近江鉄道は「地域を支えてきた鉄道だが、あり方には色々な選択肢がある。最適な形を行政と検討していきたい」としている。

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