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【夕焼けエッセー】還暦あとの誕生日

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 昨年還暦を迎えた。遠くに住む2人の子供たちは、サプライズプレゼントを計画してくれた。私が今欲しがっているものが長財布であることを、兄が家内からこっそり聞き出し、金を出し、妹が百貨店まで足を運び選んでくれたようだった。

 馬鹿な私は、「欲しいものが、こんなにピッタリはまって百貨店から送られてくるものだろうか。そうか、正月に帰省した彼らとそんな話をしたかな。親父の欲しいものをよく見てくれているのだなあ」とプレゼント以上に、親父に関心を持っている子供たちに喜んだものである。その夜、長文の感謝のメールを送ったことも覚えている。

 今年は、さすがに遠くに住む子供たちには期待はしない。ただ、還暦後の最初の誕生日が近づいても、家内すらなんとも言わない。ついに、その日の朝が来たが、話題すらならない。例年なら、好きなものを作って待っているとか、プレゼントは何が良いとか打診があった。ついにぶぜんとした気持ちで会社に出かけるしかなかったのである。

 私は、自分の記念日だとか誕生日だとかに、あまり頓着しない人間だと思っていた。そんなことで一喜一憂することはしない、と思っていた。なのに、なんだ。実はこんな小さなことを何日も前から気にしている。不惑の年どころか還暦過ぎたオジサンが、である。ちっぽけなことで心惑わすちっぽけな自分を再発見した。

 ちなみに、家内は決して忘れていたわけではなく、その夜はそれなりの好物が用意されていた。人生の修行は、これからも続く。

道場康二(61) 会社経営 神戸市垂水区

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