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【脳を知る】三叉神経痛 出術で治る耐えがたい顔面の痛み

「脳を知る」
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 痛みを伴う病気は、とてもつらいものです。痛みは、痛いという感覚のみならず、不快感や不安感も伴って、本来の痛み以上につらく感じるものです。これは脳の中で、痛みを感じる感覚領域と、不快感や不安感あるいは恐怖感などを感じる情動領域がつながっているからです。

 「世界三大疼痛(とうつう)」の1つとして、よく引き合いに出される病気に三叉(さんさ)神経痛があります。瞬間的な激しい痛みが顔面に繰り返し起こる脳の病気です。顔面の感覚を感じる「三叉神経」という神経が、脳の深部にある脳幹という部分から出てくる所で、たまたまその付近に存在する血管によって強く圧迫されることが痛みの原因です。

 痛みは片側の顔面に起こります。特に小鼻や頬や口の中など口の周辺に起こることが多いので、歯痛と間違われることがあります。口の中や頬の一部に触れると痛みを引き起こし、食事や歯磨き、洗面の際のみならず、しゃべるだけでも激痛が起こります。まさに地獄の責め苦です。

 この病気の患者さんは、まず歯科を受診することが多いですが、歯に原因がないので歯科の治療では痛みは取れません。神経が原因なので通常の鎮痛剤は効かず、てんかんを抑える薬である抗てんかん薬の一種が有効です。これは非常によく効く半面、残念ながら効果が長続きせず、副作用が出たりする場合もあり、長期間にわたり有効とはいえません。

 しかし、幸いにも、この病気は脳の手術で完治できます。神経血管減圧術という小さな開頭手術で、脳の深部にある三叉神経を圧迫している血管を少しずらします。この手術で90%以上の人が痛みから完全に解放されます。

 三叉神経痛の本当の苦しみは周りの人には理解されず、ご本人にしかわかりません。食事や洗面のたびに顔面に激痛が起こり、ご飯も食べられない、会話中にも痛みが起こるので怖くておしゃべりもできないなど、人知れず苦しんでいた症状が手術によって嘘のように消え去ったとき、多くの患者さんは「人生が変わった!」と喜ばれます。そのとき、それまでの患者さんの苦しみがどれほど大きかったのかということを改めて認識させられます。

 脳の手術は誰にとっても抵抗のあることです。しかし、それによって、嘘のように苦しみから解放される可能性もあります。まずは自分の病気について、よく知ることが大切です。

(済生会和歌山病院副院長 脳神経外科部長 小倉光博)

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