PR

産経WEST 産経WEST

【夕焼けエッセー】停電に耐える 

Messenger

 台風21号で、わが家も被災した。庭の木が倒れ、屋根瓦が数枚飛んだが、家自体は大きな被害はなく、水道、ガスも問題なかった。しかし4日間停電した。長時間の停電がこんなにも苦しいものだとは思わなかった。

 情報収集のために現在ではスマホが欠かせない。しかし停電で充電できない。乾電池式の充電器が役に立った。しかしこれも乾電池を頻繁に交換しなければならなかった。

 冷蔵庫がだめなので、発泡スチロールのトロ箱に氷を入れて、冷蔵庫の代わりとした。氷の入手が大変だった。ガスが通じていたので、鍋でご飯を炊き、おかずは腐っていない食材で、野菜炒めなどを作った。

 お風呂が沸かせなかったので、水を張った浴槽に大鍋で沸かした熱湯を何杯も入れ、行水をした。さらに洗濯は大きな盥(たらい)で手洗いした。

 光のありがたみが身にしみた。朝、唯一の情報源である新聞を読むのでさえ、家で一番明るい場所を選ばなければならなかった。暗くなるとろうそくをともしたが、神棚用のろうそくでは20分もともせば、新しいものに変えなければならなかった。神社仏閣にあるような大きな和ろうそくが必要かもしれない。

 エアコンや扇風機がだめなので、窓を全開にして涼をとった。そのため蚊が暗躍した。電気式蚊取り器はだめなので渦巻蚊取り線香が役立った。

 現在、社会がいかに電気に依存しているかを思い知らされ、いかにもろい地盤の上に築かれているかを見せつけられた。

 そしてこの生活に耐えられた最大の要因はろうそくの明かりで膝を突き合わせた一家だんらんであったかもしれない。電灯がともったときには、家族全員で万歳をした。

片木威(61) 大阪府泉南市

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ