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【関空不全~台風21号の爪痕(中)】海上空港の“死角”地下施設リスク 「護岸偏重」のツケも

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【関空不全~台風21号の爪痕(中)】
海上空港の“死角”地下施設リスク 「護岸偏重」のツケも

 関空を運営する関西エアポートは、台風に備えてスロープの地上部分に土(ど)嚢(のう)を積んだり、室内の変電器を約30センチかさ上げしたりするなどの対策をとっていたが、それは大雨の被害を想定したもの。大阪港で過去最大の3・29メートルを観測するなど「140年に1度のレベル」という高潮の前では、無力だった。

 「津波でも高潮でも、かさ上げ(した護岸)で守られている地下であれば、安全だと思っていた」

 関西エアの山(やま)谷(や)佳之社長は8日の記者会見でこう述べ、「日本の空港や大きなオフィスビルの電気施設は、おおむね地下にある。通常の大雨なら(故障した)排水ポンプで全て排水できた」と、今回の浸水が「不可抗力」だったとの見解をにじませた。

  護岸偏重のツケ

 これまで関空がとってきた根本的な防災対策は、「護岸偏重」といえるものだった。

 関空のある人工島の地盤は軟らかく、関西エアによると、第1ターミナルのある1期島は平成6年の開港時から現在までに平均で約3・4メートル沈んでいる。16年の台風の際は波が護岸を乗り越え道路などが冠水する事態が発生。これを機に高潮・高波対策が本格化し、地盤沈下を補いつつ、護岸を水面から5メートルの高さにかさ上げする工事などが実施されていた。

 これで「50年に1度の波にも耐えられる」(関係者)はずだったが、台風21号の高波は護岸をやすやすと乗り越えたとみられる。

 早稲田大の柴山知也教授(海岸工学)によると、23年の東日本大震災による福島第1原発事故を契機に、一部自治体や警察施設では、地下にある重要施設を上階に移動させる対策が進んだという。

 国土交通省航空局などによると、国が所管する空港では、配電設備などの重要施設の大半が建物の1階に入っている。関西エアの担当者は「(地下にある)配電設備などの重要施設は常時稼働しており、スペースの確保も難しい。(移設は)簡単ではない」と話すが、重要施設が地下にあることのリスクを十分に認識していたとは言い難い。

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