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【夕焼けエッセー】夢を持つこと 

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 プロ野球やサッカー選手が小中学校を訪れ指導することがある。実技指導の後、決まって“夢”を持ち続けて努力することの大切さを説く。確かに目標を定め努力し続けることなしでは何事も達成はできない。

 私の体験を話そう。昭和43年卒業、大手企業に就職。希望に胸膨らませ社会人の第一歩を踏み出した。50年前のことだ。希望への旅立ちとはいえ、与えられた仕事は訪問販売。初期高度経済成長時代、営業部門新入社員の仕事は訪問販売が多かった。ピアノも、自動車も、ベッドも、保険も、当時各社が販売を競った。その手段は訪問販売だった。カタログが詰まった重いカバンを提げ汗だくの朝から晩まで徒歩の訪問販売。嫌われ断られるのが通常の戸別訪問販売。毎日実績を追求され評価はノルマ達成あるのみ。胸に秘めた大卒のプライドも惨めに砕けた。当時はやった“サラリーマンは気楽な稼業意識”など夢のまた夢。将来の人生設計も見えず販売実績のみが問われる苦しい日々だった。

 しかし、私には“持ち続ける夢”があった。いつか『海外事業部に入り世界狭しと海外事業を展開する夢』だった。この夢こそがお先真っ暗の苦しい日常に打ち勝つ原動力を私に与えてくれた。実績を重ね、将来必ず海外事業に携わる。今はその勉強時代だと固く信じた。その為に努力した。他人(ひと)の倍働いた。“夢”がそれを可能にした。

 努力する者は誰かが見てくれている。やがて周りの人たちにも恵まれ、希望部署配属を手にする日が来た。温かい人間関係に恵まれ夢を達成することができた幸運に、努力すれば人生は何と素晴らしいかと実感した。長い会社人生の中で、お世話になった先輩、苦楽をともにした同輩や後輩たち、人間関係の大切さを学んだ。いつも力強く励まし指導してくださった先輩はもういない。悲しい限りである。

井村丕(はじめ)(73) 大阪府枚方市

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