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【通崎好みつれづれ】魅惑の「上方テイスト」

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【通崎好みつれづれ】
魅惑の「上方テイスト」

創業370年以上の老舗「阿み彦」のうなぎ丼=大阪市中央区北浜 創業370年以上の老舗「阿み彦」のうなぎ丼=大阪市中央区北浜

 与謝野晶子著『私の生い立ち』(岩波書店)を読んだ。明治11年大阪府堺市に生まれた晶子が、大正4年に創刊された少女雑誌『新少女』(婦人之友社)に連載した幼少時の思い出が、竹久夢二の挿絵とともに収められている。晶子の観察力と記憶力のよさに驚かされるとともに、当時の上方風俗を面白く読むことができる。

 さて、その中に、晶子家族が大阪市内に出かける際のお決まりコースを紹介した部分がある。「(前略)浪華橋(なにわばし)の下の生洲(いけす)の網彦と云う川魚料理の船で、御飯を食べて帰るのでした。こと、こと、ことと浪華橋の下駄の音がする時に、私等は船の障子を開けて、淀川の水をちゃぶちゃぶと手で弄ぶのが、どんなに楽(たのし)いことでしたろう、その頃の私等に。」

 この中の「網彦」が気になって調べてみたところ、難波橋近くに「阿み彦」という名の鰻(うなぎ)屋を見つけ、早速出かけた。

 この店は、都島区の網島で寛永年間に創業、370年以上の歴史を持つ。3代目が現在の中央区北浜に移し、当代の奥田幸彦さん(72)で11代目となる。現在はビルの地階での営業だが、当代の姉である女将(おかみ)の柔和なたたずまいからも老舗の雰囲気が感じられる。

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