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【ミナミ語り場】作詞家・もず唱平さん 「あかんたれ」を応援する街

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【ミナミ語り場】
作詞家・もず唱平さん 「あかんたれ」を応援する街

「ミナミでの出会いが作詞家人生の出発点」と語るもず唱平さん=大阪市中央区の「たこ梅」(恵守乾撮影) 「ミナミでの出会いが作詞家人生の出発点」と語るもず唱平さん=大阪市中央区の「たこ梅」(恵守乾撮影)

そんな彼らを全否定せず、逆に受け入れてくれる風土がミナミにはあるという。

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 演歌歌手の金田たつえさんが歌い、大ヒットした代表作のひとつ「花街の母」。実の娘を妹と偽り、花街で生きていく未婚の母を描いた作品は発表当時、全国でモデル探しが行われたが、「ミナミの小さな飲み屋がモデルです。男運の悪い30代の姉が20歳前後の妹の幸せな結婚を願う真剣な姿を目にし、設定を母子に変えて生まれた歌です」と誕生秘話を打ち明ける。歌詞通り、「年の離れた妹」だったのだ。「ミナミは創作意欲を刺激する街。作詞家人生の原風景です」と語る。

 劇場や老舗店の灯が減り、ミナミから文化の灯が消えたようで寂しさを感じていたが、久しぶりに訪れて気づいた。「そもそもミナミは音楽にしろ、芸能にしろ、カオス(混(こん)沌(とん))の中から発展してきた。時代の中で創造するのが文化なら、この街には確かにそのエネルギーがある」

 変化するミナミを肴(さかな)に、また通いたいと思い始めている。  (今村義明)

    

 【プロフィル】もず唱平(もず・しょうへい) 昭和13年、神奈川県で生まれ、大阪で育つ。19歳のとき、詩人で英文学者の喜志邦三氏に師事。松竹新喜劇文芸部を経て、昭和42年に「釜ヶ崎人情」で作詞家デビュー。60万枚のヒットとなる。作詞家50周年の平成29年に日本レコード大賞功労賞受賞。日本作詩家協会顧問。

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