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【映画作家、河瀬直美の「好日便り」】瞬間を永遠に残す 映画の輝きは生きる力

20日に開幕する「なら国際映画祭2018」のポスター
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 この一瞬を残したいという思いが映画を創り始める前から強くあった。この美しい夕暮れの光景を、大切な人との時間を、永遠に留めておきたい。けれどそれはどんなことをしても成せるものではなかった。

 両親を知らず母方の伯母夫婦に子供がいなかったことから、その家の養女になって育った。戦争を知る世代の彼らの日常はとても質素だったが、変わらぬ日々の中で少しずつ移ろう季節を肌で感じて過ごすことができた。

 養母は花が好きで、庭にはいつも花が咲いていた。養父は岐阜の出身で長良川の魚をつかんで遊んだ頃の話をしてくれた。ふたりとも満州から命からがら引き揚げた体験を語っていた。ふたりが私に注いでくれた愛情は、両親を知らない私の心を温かく包み込み、前向きに生きてゆく力を知らず知らずのうちに宿してくれたのだ。

 18歳の頃、映画に出合い、この瞬間を永遠に残せる映像に魅了された。私にとってのタイムマシンはあれから30年の月日を経ても尚、生きる力となって人生の隣にある。

 10年前に故郷奈良で国際映画祭を開催することができ、2年に一度の祭典は今年5回目を迎える。9月20日、レッドカーペットセレモニーでオープニングを飾り、24日のクロージングまでの5日間。世界各国からゲストを迎え、街全体が映画館のように、人々が行き交う空間を創出する。

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