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【石野伸子の読み直し浪花女】竹林の隠者・富士正晴(8)茨木市の竹やぶ“不透明”執筆でも達観 ジャーナリズム視点「桂春団治」

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 その点、日本の小説はことに具合が悪いような気がしてならぬ。そんな思いを抱えたのも「わたしの一つの戦後なのだろう」とも書く。そして、「VIKING」の同人たちが、いまもひとつの方向性として口にすることの多い富士正晴の文学観がこう語られる。

 「ごつごつしたもの、硬いもの、厄介なもの、ザラザラしたものにわたしはますますあこがれて行くもののようだ」(『わたしの戦後』)

 富士は詩人として出発し、晩年まで折々に詩を書いた。

 元VIKING同人で仏文学者の杉本秀太郎は「富士正晴作品集二」の解説で、晩年の富士正晴の心境をつづった詩として「小信」を挙げている。昭和54年「富士正晴詩集」に収められた作品だ。

 隠者と ひとはいいますなあ

 陰々滅々でありますな 笑っておりますな

 ひとは のんきそうだといいます

 黙っておれば 腸が七つ折り

 喋れば 胃がむかつきますなあ

 書くこと一切気に入らず

 読むこと一切苦患なり

 先行き 茫々 人生 漠々

 人類の象徴は はばかりながら わしでっせ

 以後の富士正晴の生と認識は、この「小信」が伝えるとおりだったと、杉本秀太郎はいう。この達観。

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