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【文化遺産は語る(1)】「廃仏」乗り越え守られた信仰 聖林寺(奈良県桜井市)の「十一面観音立像」

聖林寺の収蔵庫に安置されている国宝「十一面観音立像」=奈良県桜井市(渡部圭介撮影)
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 奈良県桜井市郊外にたたずむ聖林寺(しょうじ)。小さな門をくぐり、本堂脇の階段を上ると、コンクリート製の収蔵庫がある。重々しい扉を開ければ、暗闇の先に照明を浴びて輝く、観音像が現れた。「天平彫刻の傑作」とたたえられる、十一面観音立像(じゅういちめんかんのんりゅうぞう)だ。

 厚い胸とくびれた腰、足下にすべらかにこぼれる天衣(てんね)…上から下まで美しさにすきがない。表情の気高さを伝える、うまい表現が見つからない。哲学者、和辻哲郎(わつじ・てつろう)(1889~1960年)の『古寺巡礼(こじじゅんれい)』から言葉を借りよう。

 「われわれは否応(いやおう)なしに感じさせられる、確かにこれは観音の顔であって、人の顔ではない」

 十一面観音は昔から聖林寺にあったわけではない。元は同寺から約4キロ北の大御輪寺(だいごりんじ、おおみわでら)という大神(おおみわ)神社(桜井市三輪)付属の神宮寺にあった。ところが慶応4(1868)年、明治新政府が神社と寺院の分離を求めた「神仏分離令」を出すと、大御輪寺は大直禰子(おおたたねこ)神社に改装。十一面観音は居場所を失った。

□ ■ □

 十一面観音がその後、たどった経緯について『古寺巡礼』は、こう明かす。

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