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【夕焼けエッセー】イビキの効用 

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 私はイビキをかく、と連れ合いから指摘を受けるのだが私には分からない。一方、連れ合いもイビキをかくことがあるのだが、それを言うとそんなことはないと否定する。イビキをかくということは、よく眠っているあかしと思うんだが。

 ところで、私の父は昔、新聞社に勤めていた。新聞社というところは早出や遅出・泊りといった結構不規則な生活リズムの仕事場である。そんな勤務状況の中、父は遅出・泊りの日など出勤までの時間、庭木の手入れやらちょっとした日曜大工などによく汗をながしていた。

 そして出勤する前になると横になり、新聞紙を顔に載せ少し午睡をとる。それが10分なのか15分ぐらいだったのかは覚えていないが、時間がくると母が起こす。起きると父はイビキをかいていたかを聞き、かいていたと聞くと「そうか」と言い、着替えて仕事に出かけていった。このちょっとした眠りが仕事中、大変重要だと言っていた。

 現在、私は家の近くでパートタイムの仕事をしている。この勤務は午前・午後・夜と3交代制であるが、夜勤務のときなど出勤前にちょっと横になるようにしている。連れ合いに、時間がきたら声をかけてくれと頼み横になる。そうして起こされてイビキをかいていたかを聞き、かいていたと聞くと安堵(あんど)して勤めに出る。そのとき、昔の父親の気持ちが分かったような気がするのである。

伊藤耕二(71) 兵庫県尼崎市

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