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【台湾の臨床仏教(下)】穏やかな最期の時を導くには

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【台湾の臨床仏教(下)】
穏やかな最期の時を導くには

台湾の医師と僧侶の求めに応じ、日本の臨床宗教師について講義する東北大の鈴木岩弓・総長特命教授(右)。患者の苦悩を和らげる宗教者を養成する日本の仕組みに対し、台湾の医師から称賛の声が上がった=2018年1月、台北市の台湾大付属病院(小野木康雄撮影) 台湾の医師と僧侶の求めに応じ、日本の臨床宗教師について講義する東北大の鈴木岩弓・総長特命教授(右)。患者の苦悩を和らげる宗教者を養成する日本の仕組みに対し、台湾の医師から称賛の声が上がった=2018年1月、台北市の台湾大付属病院(小野木康雄撮影)

 一例が「助念」。死者の霊を混乱させないためとして、死後8時間は遺体を動かさずに念仏を唱え続けるという風習だ。台大病院はこの時間を遺族の喪失感や悲しみを表に出すグリーフ(悲嘆)ケアに役立てようと、仏像や絵像を安置した専用の助念室を地下に設けている。

看護師から僧侶に

 「善終」という独特の死生観もケアに影響する。

 台湾出身で立命館大衣笠総合研究機構の鍾宜錚(ジョン・イジュン)専門研究員(倫理学)によると、善終は「よい死」の意味。故郷や自宅で死を迎えないと先祖に会えないと考えられているため、入院治療していても、回復の見込みがなくなると退院する患者が多いという。

 だからこそ、在宅で緩和ケアを受ける患者の元に僧侶を派遣する「大悲学苑(だいひがくえん)」(台北市)へのニーズがあるともいえる。

 高野山真言宗の尼僧で臨床宗教師の玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)さん(53)=東京都江戸川区=は3年前に初めて大悲学苑を訪れて以来、日本にノウハウを持ち込みたいと模索し、今回の視察研修を企画した。

 看護師でもある玉置さんは、医療だけでは患者のケアに限界があると感じて出家した。剃髪し、僧侶と分かる見た目でベッドサイドに座ると、患者の語る内容は明らかに看護師との会話とは異なったという。

 無宗教といわれる日本人でも、患者は無意識のうちに僧侶に何かを期待する。そんな実感を持つ玉置さんは、こう願っている。

 「日本と台湾の仏教緩和ケアが刺激し合い、互いに発展できれば」

    (小野木康雄)

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