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【台湾の臨床仏教(上)】最難関の大学病院が緩和ケアの専門僧侶養成

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【台湾の臨床仏教(上)】
最難関の大学病院が緩和ケアの専門僧侶養成

台湾大付属病院の緩和ケア病棟で、膵臓がんの男性患者に語りかける大下大圓さん(左)。常駐する尼僧と主治医の黄威勝さん(右)らが見守った。日台では、医師や看護師に代わって患者の苦悩を和らげる聖職者のケアに、仏教精神を導入しようと模索している=2018年1月、台北市(小野木康雄撮影) 台湾大付属病院の緩和ケア病棟で、膵臓がんの男性患者に語りかける大下大圓さん(左)。常駐する尼僧と主治医の黄威勝さん(右)らが見守った。日台では、医師や看護師に代わって患者の苦悩を和らげる聖職者のケアに、仏教精神を導入しようと模索している=2018年1月、台北市(小野木康雄撮影)

 台大病院は臨床仏教宗教師を養成する主体にもなってきた。このため、医師には仏教への理解がある。陳慶餘(ちん・けいよ)名誉教授は、大下さんらにこう説明した。

 「患者が安心して最期を迎えるには『仏性(ぶっしょう)』を養うことが必要。僧侶にはそれを引き出す役割がある」

「人は終末期にこそ成長する」

 仏性とは、仏になれる素質という意味だ。

 大乗仏教は「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」と説き、生きとし生けるものはすべて仏になる可能性があると教えている。がん患者にとっては、死への恐怖を克服して人生を締めくくり、極楽浄土という死後の世界に希望を見いだすことへとつながる。

 同じく医師の蔡兆勲(さい・ちょうくん)主任はこう語った。「人は終末期のときにこそ、人生の意義や価値、目的を見つけ、精神的に成長できる。仏教緩和ケアは、患者を成長させるケアだ」

 台湾内政部(内務省に相当)によれば、人口に占める65歳以上の高齢者の割合(高齢化率)が3月に14%を超えたことで、台湾はWHOの定義に基づく「高齢社会」となった。

 一方、日本は13年前の05年に高齢化率21%超の「超高齢社会」に突入。7月には28%に達している。

 団塊の世代が寿命を迎えることに伴う「多死社会」は到来目前。「仏教緩和ケアの導入は、台湾よりも喫緊の課題」と、大下さんは考えている。

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