PR

産経WEST 産経WEST

【夕焼けエッセー 7月月間賞】大阪・枚方市の山下久美子さん「落とし物拾い物」に決定

夕焼けエッセー7月月間賞の山下久美子さん
Messenger

 「夕焼けエッセー」の7月月間賞は、大阪府枚方市の山下久美子さん(62)の「落とし物拾い物」に決まった。よく物を落としながらも、よく人の落とし物を拾う自身の“生き方”を精緻な描写で書いたことが評価された。選考委員は作家の眉村卓さん、玉岡かおるさん、丸橋茂幸・産経新聞文化部長。

 山下さんの話「とてもうれしい。落とした物って探せば意外と返ってきます。拾ってくださる方がいるんですね。私が以前1万円札を届けたとき、持ち主からお金(法律で義務づけられた報労金)が送られてきて…そんなつもりはなかったので、お菓子を送ったことがありました。それ以来、所有権は放棄しています。よく落とすけれどよく拾う。これからもそうなんだろうと思って、思い浮かんだことを書きました」

■落とし物拾い物

 私はよく物をなくす。一番多いのがピアスだ。その次は日傘で、気に入ったものほどあっという間にどこかに消えてしまう。旅先のトイレで財布を置き忘れ、気がついて走ったが見事に無くなっていた。ショックだった。

 でも返ってきた物も多い。コンタクトレンズにマフラーそして雨傘など。買い物した袋をそっくりバスの座席に置き忘れた時も、そのままの状態で見つかって「助かった」と大喜びした。落とし物の発見率は60%くらいか。

 私はまた拾う側にも縁があった。デパートで一万円札を見つけ、路上で障害者手帳に会い、財布に突き当たる。いずれも警備係や交番所に届けるが、所有権放棄することを忘れない。

 最近、定期券を拾った。第一発見者はおじいさんだった。彼が道に落ちていたカードを拾い上げているところを目撃。しばし目をとめてから、近くにあったフェンスのつなぎ目にはさみ込んでいた。わざと人目につきやすいような形で。

 彼が去った後にカードを覗き込むと、15歳の男子の定期券だった。名前も書かれ有効期限もたっぷりある。私は駅に託すのが早いと判断した。老人から勝手にバトンタッチして駅員さんに届ける。発見した場所を聞かれたので、経緯を説明するとすんなり受理された。学生さんの手に戻るのは時間の問題だろう。おじいさんは知る由もないけど、持ち主が喜んでくれたら嬉しいよね。

 私はこれからも、落として拾って生きていく。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ