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【西日本豪雨・想定外クライシス】(3)「伝わらない」迫る危険 避難指示「私は大丈夫」

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【西日本豪雨・想定外クライシス】
(3)「伝わらない」迫る危険 避難指示「私は大丈夫」

 7月6日夜。広島県熊野町川角(かわすみ)の戸建て団地「大原ハイツ」に住む吉田成慶(しげよし)さん(69)は、避難指示を伝える防災無線を自宅で聞いた。雨は激しさを増していたが、「朝には収まるだろう」とそのまま就寝。翌朝、外に出て絶句した。

 自宅裏の山肌は大きくえぐれ、至る所に土砂が散乱。表通りにつながる狭い路地には電柱が倒れ、車で移動しようとすると町職員に「先は土砂でふさがっている。裏から歩いて避難所へ行って」と制止された。

 泥だらけになりながら避難所にたどり着き、付近で起きた土砂崩れで12人が犠牲になったことを知った。113世帯、300人以上が暮らす大原ハイツで避難しなかったのは、自分を含め約50人。自宅の反対側の大半は、土砂にのみ込まれていた。

 地域の約半分は土砂災害警戒区域に指定されており、町は今年春、ハザードマップを各戸配布していた。吉田さんも土砂崩れの恐れがあることは認識していたが、避難指示は“ひとごと”のように聞いていたという。「自分は大丈夫という甘い感覚があった。助かったのは運が良かっただけ」。自戒とともに振り返った。

特別警報が出ても…

 総務省消防庁によると、豪雨のピークとなった7月7日は災害対策基本法に基づき、21府県109市町村が避難指示を出した。避難勧告も20府県178市町村で出され、指示・勧告対象者は約863万人にのぼったが、指示・勧告自体に強制力はなく、自治体指定の避難所に来た人は対象者の0・5%未満にすぎない約4万2千人だった。

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