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【関西の力】ホールガーメント(2)「逆さの手袋」がヒント 世界の高級ブランドが和歌山に注目

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 縫い目のないニットをまるごと立体的に編み上げる「ホールガーメント」の技術。その革新的な技術の発祥の地は、和歌山県だ。温暖な気候から綿花の栽培に適し、江戸時代から繊維業が発展。県北部を中心に紡績や染色など繊維関係の工場が多く稼働してきた。

ホールガーメント製法
ホールガーメント製法

10代にして発明家、世界初の快挙達成

 ホールガーメントを開発した和歌山市の「島精機製作所」の社長、島正博さん(79)も定時制高校に通っていた昭和20年代末、日中は手動手袋編み機の修理工場を手伝っていた。

 そのころ染色工場では、布に模様を印刷する捺染(なっせん)機の歯車に軍手が巻き込まれる事故が多発していた。当時の軍手は編み目を減らして手首を細くしていたため簡単には脱げず、指や腕、命まで落とす職人が後を絶たなかった。胸を痛めた島さんは「すぐに脱げる手袋ができないか」と考えた。

▼【関西の力】ホールガーメント(1)「紀州のエジソン」が生み出した宇宙船内服 縫い目なく動きやすい

 実は10代にして発明家。「音のしないげた」「ゆるまないねじ」など次々と考案していた。30年、18歳のとき、ゴム糸を使って手首を締める「ゴム入り安全手袋」を発明する。これを機に、手袋編み機の開発に注力。試行錯誤の末、39年、全自動手袋編み機が完成する。全自動で人の手が加わらない、ということは、パーツを縫い合わせる工程がない、つまり、縫い目のない手袋が編めるということ。それも2分で編める。世界初の快挙だった。

「手袋を逆さにするとセーターと同じ形だ」

 それでは満足しなかった。ファッショナブルな物を作ってみたい。会社を大きくしたい。ある日、手袋を逆さにして気がついた。「親指と小指が袖。真ん中の3本を束ねれば身頃。セーターと同じ形だ」。全自動手袋編み機の技術が応用できるはず。手袋のように縫い目のないセーターが自動で編み上がれば、編み地の無駄が出ない。それに立体的な美しいシルエットになるはずだ。

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