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【西日本豪雨・想定外クライシス】(1)「2つの高気圧」と「2つの偏西風」南北から挟まれ前線停滞

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【西日本豪雨・想定外クライシス】
(1)「2つの高気圧」と「2つの偏西風」南北から挟まれ前線停滞

 上空を西から東に蛇行しながら吹く偏西風には、気流の強い帯状の場所がある。中緯度を吹く「亜熱帯ジェット気流」と、高緯度の「亜寒帯ジェット気流」だ。ジェット気流は高緯度側の冷たい空気と低緯度側の暖かい空気の境界を吹くため、北半球ではジェット気流の北側は気圧が低く、南側は高くなる。

 中村教授によると、この時期、2つのジェット気流がそれぞれ南北へ大きく蛇行し、日本付近で2つの高気圧の発達を促した。梅雨前線の停滞は、2つのジェット気流の蛇行のタイミングが重なってしまった「気圧配置の妙」によるものだったのだ。

 「誤算」はもう一つあった。大きく張り出した太平洋高気圧の縁に沿って湿った空気が流れ込み、東シナ海からと合わせて2方面から流入。日本付近の夏の気温はここ30~40年の間に1度ほど上昇し、大気中に含まれる水蒸気も計算上7%程度増えているとされる。豪雨の「燃料」の総量が増えていたことも、雨の勢いに拍車をかけたとみられる。

 「偏西風が北上・蛇行する原因には、おそらく温暖化が影響していると考えられる。今や、『想定外』はなくなりつつあると考えた方がいい」。中村教授はこう指摘した。

 気象庁の異例の会見から2日半以上たった8日朝、政府が非常災害対策本部を設置。この時点で死者・行方不明者は100人を超えていた。警察庁によると、被災地での死者は226人。今も10人の行方が分かっていない。

 平成最悪の豪雨災害となった西日本豪雨では、これまでの常識を超える事象が被害を拡大させた。次々と発生した「想定外」を振り返り、今後の防災のあり方を考える。

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