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【和歌山毒物カレー事件20年(上)】いじめ、婚約破談…死刑囚の息子、逃れられない十字架 「母信じたいが…」消えぬ苦悩

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【和歌山毒物カレー事件20年(上)】
いじめ、婚約破談…死刑囚の息子、逃れられない十字架 「母信じたいが…」消えぬ苦悩

林真須美死刑囚と長男(一部画像処理しています) 林真須美死刑囚と長男(一部画像処理しています)

 パレードカーに乗り込んだミッキーマウスが沿道に詰めかけた大勢の家族連れに向かって手を振っていた。今年5月の「こどもの日」に、和歌山城(和歌山市)周辺で催されたディズニーキャラクターによるパレードのにぎやかな光景をトラック運転手、林和久さん(30)=仮名=は、ただ一人、車窓から複雑な表情で見つめていた。

 和久さんの母親は平成10年に起きた和歌山の毒物カレー事件の容疑者として逮捕され、死刑判決が確定した林真須美死刑囚(57)だ。事件以降、和久さんの人生も一変した。預けられた児童養護施設ではいじめを受け、給食のカレーに乾燥剤を入れられたこともあった。施設を出てから働いた飲食店では「衛生的に良くない」と一方的に解雇されたという。

 温かい家庭など望むべくもないと思っていた和久さんを一度は死刑囚の息子であることも含めて受け入れてくれた女性もいた。結婚の約束を交わしていたが、その父親に身の上を打ち明けると表情を一変され、「二度と近づかないでほしい」と告げられた。女性とも連絡は取れなくなり、婚約は破談となった。

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 幼い頃の暮らしは贅沢だった。「これ、見てみろ」。父の健治さん(73)は上機嫌でこう語ると、ボストンバッグの中から帯封がついたままの札束を無造作に取り出し、和久さんら子供たちに見せつけた。自宅の金庫には数億円があり、部屋には高価なアクセサリーがあふれていた。和久さんらには当時、最新のゲーム機だった「セガサターン」や「ニンテンドー64」が何不自由なく与えられた。

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