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【虎番疾風録(7)】江本孟紀の「ベンチがアホやから」発言の伏線

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【虎番疾風録(7)】
江本孟紀の「ベンチがアホやから」発言の伏線

 「投球術に役立ててるんですか?」

 「アホか、そんなもん役に立つか。立っとったら15敗もするかい」

 「そらそうですね」

 電話が鳴り、江本は背を向けて話し始めた。その間にたばこでも吸おうと思った。あいにく1本もない。クシャッと箱を握りつぶした。とたん、江本の肩口からポーンと真っさらのたばこが飛んできたのである。

「後悔などない」

 たとえ相手が1年生の虎番でも、これだけの気を遣える人、それが江本だった。

 2度目の訪問。昼前だというのに江本は眠そうな顔をしていた。だが、その表情に「後悔」の色はなかった。

 「後悔? そんなもんあるかいな。スッキリした気分や。あんな問題が起こらんでも、ことしのオフには何らかのアクションを-と考えとったしな。それが早まっただけのことや」

オレは監督に信用されていない! 江本は独り言を発言に変えた オレは監督に信用されていない! 江本は独り言を発言に変えた

 --なんで、ここまで中西さんと仲が悪くなったんですか。キャンプで打ち込んできたから? 他に理由があるでしょう? しつこさに負けたのか、江本はポツリポツリ話し始めた。

 「あるとき解説で太っさんが阪神のことをボロクソに言うたんや。ひどかった。そこまで言うかと思うほどウチの選手を貶(けな)したんや。そして最後に“こんなチームのコーチは絶対にやらない”とまで言うた。そんな人が打撃コーチで来て、監督になった。信用できると思うか?」(敬称略)

      ◇

 8月上旬から始まった新連載「猛虎伝」第4弾、『虎番疾風録』。筆者、田所龍一編集委員が「虎番」だった昭和50年代、次々に遭遇した事件、騒動、ドラマの数々を思い入れたっぷりに描きます。第1話は虎番2年目の昭和56年8月に起こった江本の「ベンチがアホやから」事件から始まります。

 江本発言の真相とは。

 そして第2話以降は「江川騒動」「ブレイザーVS岡田」「突然の小林引退」「逆転、吉田監督誕生」|と続きます。無我夢中で走り回った虎番記者の〝奮戦記〟をご期待ください

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