産経WEST

ピカッと来たらおしまい-終戦前日に空襲、軍需工場で間一髪…仲間ら犠牲、阪大名誉教授「戦争は人を狂わせる」

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新


ピカッと来たらおしまい-終戦前日に空襲、軍需工場で間一髪…仲間ら犠牲、阪大名誉教授「戦争は人を狂わせる」

山口県光市の「光海軍工廠」の完成3周年を祝い集まる人たち=昭和18(市教育委員会提供) 山口県光市の「光海軍工廠」の完成3周年を祝い集まる人たち=昭和18(市教育委員会提供)

消えた夢

 山口県出身の中田さんは19年夏、14歳で同工廠に学徒動員された。担当したのは高射砲の弾を製造する作業。重さ30キロ近い鉄の素材を1100~1200度の高温で焼き、機械で中央部に火薬を詰める穴を開ける。大人顔負けの力仕事を十数人一組でこなした。

 作業が終わると、油と煙で全身が真っ黒になった。浴槽の中で汚れを洗い流したが、目の縁はせっけんでも落ちず、落ちかけの化粧のように黒いまま。ある日、鉄の素材を炉の中にほうり込む際に転倒し、左手が滑り落ちた鉄の下敷きになった。薬指は、今も自由に動かないという。

 「早く就職して家族を支えよう」と、子供の頃の夢は技術者だった。だが工廠の作業は過酷で、殺風景な雰囲気は肌に合わなかった。「こんな人間味のない仕事は嫌だ」。淡い憧れは、戦争で吹き飛んだ。

平和願い

 戦後、広島文理科大(現・広島大)に進み、動物学を学んだ。武骨な鉄の塊と格闘する日々とは対照的な、顕微鏡をのぞき込む研究生活。「私には柔らかいものが似合っている」と、のめり込んだ。

 その後、大阪大の微生物病研究所に籍を置き、約30年前、大腸菌のDNAにある塩基配列の特徴的な繰り返しを発見。これが後に、生物の遺伝子を狙い通り改変できるゲノム編集技術の「源流」となり、世界中の科学者の注目を集めた。

続きを読む

このニュースの写真

  • ピカッと来たらおしまい-終戦前日に空襲、軍需工場で間一髪…仲間ら犠牲、阪大名誉教授「戦争は人を狂わせる」
  • ピカッと来たらおしまい-終戦前日に空襲、軍需工場で間一髪…仲間ら犠牲、阪大名誉教授「戦争は人を狂わせる」
  • ピカッと来たらおしまい-終戦前日に空襲、軍需工場で間一髪…仲間ら犠牲、阪大名誉教授「戦争は人を狂わせる」

「産経WEST」のランキング