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【夕焼けエッセー】2年に1度

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【夕焼けエッセー】
2年に1度

 神戸、芦屋、ウィーン、オックスフォード、神戸。僕が引っ越しをして訪れた場所である。17年間生きてきて8回の引っ越しを経験した。「1度でいいから引っ越してみたい」。よく友人から言われるが、僕から言わせてもらえば、1度も引っ越しをしたことがない人の方が羨ましい。

 大変さの例を少し挙げてみよう。まずは荷詰の作業。直前まで使うものは最後に詰める、着いてすぐ使うものは取り出しやすいところに入れる、など頭を使う場面が多々ある。これを怠ると新居に移ってから1~2週間は段ボールと共同生活をすることになる。引っ越し先の生活が不快だと、元の家が恋しくなってくる。

 引っ越し間際の食事はというと、冷蔵庫は空にしないといけないため、長年保存していた食材たちが次々と食卓に現れる。2度と出会えないような料理がほとんどで、当たりはずれの差が激しい。毎食スリル満点だ。

 良かったことも少しある。オックスフォードでは現地校に通っていたので、現地の友達が何人もできた。一緒にサッカーをしたこと、誕生日パーティーに呼んでもらったことなど、今も鮮明に覚えている。プレゼント交換でもらったミニカーは今でも大切に飾ってある。

 本音を言えば、今でも僕は引っ越しが好きではない。けれども、来春、大学進学で9回目の引っ越しを迎えることになるだろう。僕の引っ越し回数は一体どこまで伸びるのか。楽しみでもあり不安でもある。「草の戸も 住み替はる代ぞ 雛の家(松尾芭蕉)」

西野雄紀(17) 高校生 兵庫県西宮市

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