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【関西の力】ハイテク素材(3)海水を真水に変える“魔法の膜” 「JFKの夢」かなえた東洋紡の技術融合 

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 「海水から新鮮な水を安価に取り出せるようになれば、他のあらゆる科学的業績をしのぐ偉業となる」。1961年に就任した米国のケネディ大統領(当時)が、演説で夢を語った。

山口県岩国市の工場で製造される東洋紡の逆浸透膜。中東の海水を模した塩水を流して全量検査を徹底している
山口県岩国市の工場で製造される東洋紡の逆浸透膜。中東の海水を模した塩水を流して全量検査を徹底している

「水が出たぞ。真水だ」

 地球上には約14億立方キロメートルの水が存在するが、利用可能な淡水はわずか0・8%にすぎない。約97%ある海水が利用できれば世界の水不足を解消できる-。

 「水が出たぞ。真水だ」

 紅海に臨むサウジアラビア・ジッダで89年、海水淡水化施設が稼働。海からくみ上げた「使える水」に関係者は笑顔を見せた。

 この施設の1日の造水量は当時世界最大規模の5万6800トン。23万人分の生活用水に相当する。海水を濾過(ろか)し真水を取り出すのに最も重要な部材「逆浸透膜」は東洋紡の繊維製品だ。

▼【関西の力】ハイテク素材(1)炭素繊維は京の竹が起源 競技用義足でパラリンピックでメダル導く

JFKの夢

 ケネディ大統領の演説から半世紀余りを経た今、海水淡水化向けの逆浸透膜市場では、同社や東レなど関西発祥の繊維メーカーを中心とする日本企業が6割のシェアを持つ。

 紡績や染色など水を使う工程の多い繊維産業。関西での発展を支えたのは、豊かに水をたたえる琵琶湖だ。周辺には今も各社の研究拠点が集積する。

 その一つ、東洋紡の堅田研究所(大津市、現総合研究所)が71年、逆浸透膜の研究を始めた。高度成長を経て化学品など新事業への挑戦が続いていた時代。繊維産業が円高や米国との貿易摩擦に翻弄され、途上国の追い上げを受ける前夜でもあった。

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