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【西論】原爆の日 国を危うくする理想と現実の逆転

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【西論】
原爆の日 国を危うくする理想と現実の逆転

暑さ対策のミストが舞うなか、慰霊碑に手を合わせる人の長い列ができた=6日午前、広島市中区の平和記念公園(宮崎瑞穂撮影) 暑さ対策のミストが舞うなか、慰霊碑に手を合わせる人の長い列ができた=6日午前、広島市中区の平和記念公園(宮崎瑞穂撮影)

 6日、広島。9日、長崎。

 73年前の原爆の犠牲者に思いを至らせるべき日が続く。

 ◆危機感の欠如

 深く頭(こうべ)を垂れたい。

 そして頭を垂れるからこそ、いま私たちは何をなすべきか、考えたい。

 核実験やミサイル発射を続けていた昨年9月、北朝鮮はあるまじき表現で日本を威嚇した。

 「日本列島の4つの島を核爆弾で海中に沈めるべきだ」

 原爆の犠牲者を汚す、言語道断の内容である。

 ところが、日本の国会で騒がれてきたのは何だったか。今年になってもなお、相も変わらず森友・加計(かけ)学園問題だった。昨年来の国会のていたらくほど、安全保障に対するこの国の危機感のなさを語るものはない。一部には危機意識を持った議員もいる。しかし国会全体として、安全保障問題、特に核議論について、悲しいほどに思考停止した状態が続いている。

 今年になって北朝鮮は融和路線に転じた。しかし「朝鮮半島の完全な非核化」に合意はしても、自国の非核化への道筋はいまだ示そうとはしない。融和ムードに気を抜いてはいけない。

 ◆倒錯した戦後の状況

 安全保障、特に核をめぐる議論の思考停止を招いているものは何か。

 唯一の被爆国の国民として日本人は、だれよりも核兵器の廃絶や使用の禁止を願っているだろう。この理想の高貴さは決して否定されてはならない。しかし、現実の平和を守っているのは、理想ではなく現実の自衛力であり抑止力である。政治に限らず思想的にも、戦後の日本では理想と現実の逆転が起こってしまった。

 戦後の大きな知的潮流を作ったいわゆる進歩的知識人の活動は、当欄などで何度か見てきた。核や安全保障の議論を考えるうえで、その論点を振り返ることは欠かせない。重複をいとわず書く。

 知識人グループ、平和問題談話会が昭和25(1950)年に出した研究報告「三たび平和について」が、核問題を考えるうえで重要である。

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