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【夕焼けエッセー】誕生日

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 誕生日に元の職場の互助会から喜寿のお祝いの書状が届き、金一封を振り込むと書き添えてあった。

 今時、77歳程度では特別に祝うほど長生きとは思えないが、人生五十年と言われたころの名残の風習であろう。それにしてもありがたい。

 金一封を貰(もら)った記念の年にちなんで、ついでに過去の日記の各年の誕生日の日付を順に遡(さかのぼ)って繰ってみた。

 しかし、改めて誕生日を見直しても、毎年「今日で何歳」「誕生祝いで、誰それと飲んだ」くらいのことしか書いていない。

 ただ、73歳の誕生日には、「すべての仕事を辞めて遊ぶぞう」と書いてある。本当にそれ以来仕事はしていない。

 60歳の還暦の年には「定年延長・あと五年働くか」と書いてあるが、結果は73歳まで嘱託で働いた。

 更に遡った40歳では「惑わないなんて無理!」と一言、開き直っている。まあ、それは当然だと思う。いまだに惑いの日々を送っているのだから。

 35歳の誕生日に「人生折り返し地点」と記し、「これで人生やっと半分! これからは折り返し道だ」と偉そうに書いてある。多分70歳まで生きるつもりだったのだろう。

 あの当時の男の平均寿命は70歳くらいと言われていたような気がする。

 それ以前の日記は、飛び飛びに書いていた記憶はあるが、日記帳そのものが見つからなかった。

 なにはともあれ、喜寿のお祝いを頂いたのだから、今度は米寿祝いの金一封をいただけるよう、のんびり気楽に生き延びたいと思った誕生日であった。

伊藤敏彦(77) 奈良市

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