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【夕焼けエッセー】むく鳥よ

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 四月中頃、寝室の天井から「キュキュッ、キュキュッ」と、何かが擦(す)れるような音が聞こえてきた。やがて合間に「ピピッピピッ、ピヨピヨ」と、ひな鳥の鳴き声も聞こえてきた。天井を棒でツンツンすると、音も声もピタッと止まった。

 親鳥はどこから入ったのだろうかと外を見てまわると、西側の外壁に丸い排気口。ここは鳴き声がしている所につながっている。親鳥はここから出入りし、ひなを育てていたのだ。私はなぜかホッとした。

 何という名の鳥だろうと、動物愛護管理センターに問い合わせた。姿、羽毛の色、飛ぶと尾が扇を開いたように美しい。また人が何カ国語も話しているような、にぎやかな鳴き声など特徴を伝えると「きっと、むく鳥かと思いますよ」とおしえてくださった。

 五月の終わり頃、ひなたちは入口近くまできてクルクルと首を動かし、あたりを見ていた。親鳥は朝早くからえさをほしがるひなに、虫や赤い実をせっせと運ぶ毎日。小雨の日には、羽根にかかった雨水を、ブルッと体を振って落とし、えさ取りに行っていた。貧しい暮らしの中、懸命に働き、私たちを育ててくれた亡き父母の姿と重なった。

 もう、ひなも巣から出、飛びまわっているむく鳥の家族。衛生や安全のため巣は片付けるね。秋にはわが家の柿をついばみにおいで。そして、元気で生きて命をつないでと願う。

西海美智子(71) 大阪府和泉市

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