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【夕焼けエッセー 平成29年度年間賞】小森ちあきさん「感謝を伝えるおもちゃの電話」に決定

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【夕焼けエッセー 平成29年度年間賞】
小森ちあきさん「感謝を伝えるおもちゃの電話」に決定

「夕焼けエッセー」の平成29年度年間賞を受賞した小森ちあきさん 「夕焼けエッセー」の平成29年度年間賞を受賞した小森ちあきさん

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 「感謝を伝えるおもちゃの電話」

 友人の娘が仕事の転勤で他県から大阪にやってきたので、その引っ越しを手伝いに行った。生まれたときから知っている彼女も今はもう25歳。素直に美しく成長してくれた彼女は、若いときの友人の面影をしのばせる。

 他愛もない会話を交わしながら、段ボールから荷物を取り出していた際、バスタオルで丁寧に巻かれたある物体を発見し、割れ物かと思い優しく梱包(

こんぽう)を取り去ると、そこには懐かしいおもちゃの電話が顔を出し、私は遠い過去の記憶を蘇らせた。

 母親が他界したとき、彼女はまだ5歳であった。「ママ、ママ」と毎日泣き叫ぶ様子をご主人から聞いた私は、このおもちゃの電話を彼女にプレゼントし、「この電話はね、天国のママと繋がっているの。ママの声は聞こえないけどあなたの声はママに届くんだよ」と言った。それから、彼女はことあるごとに天国のママに電話をかけ時間を忘れて話をしていたことをご主人から聞いていた。

 彼女が高学年になった頃、ご主人の転勤で他県に引っ越したが、交流は続いていたもののまだこの電話を持っているとは思わなかった。電話を静かに見つめる私の元にやってきた彼女は受話器を取り上げ「もしもしママ、ちあきおばちゃんが引っ越しのお手伝いに来てくれているよ」と笑顔で友人に報告した後、今でも「産んでくれてありがとう」と毎日語りかけていることを教えてくれた。

 感謝は生死を超えて人の心を温かく結ぶ。「あなたの娘はあなたそっくりのすてきな女性になりましたよ」と受話器に語りかけた私の耳に、「ありがとう。ちあき」との友人の懐かしい声が聞こえたような気がした。

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