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【瀬戸内家族】室町時代から続く「法楽踊り」 数百年の時を今に伝え 写真家・小池英文

室町時代から続く伝統行事の「法楽踊り」
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 尾道市因島(広島県)に椋浦(むくのうら)という集落がある。同島も西海岸は近年都市化が進んだが、椋浦がある東海岸は険しい山並みが海に迫り、ぽつりぽつりと点在する集落には今も陸の孤島のような静謐な気配が漂う。

 写真はその椋浦で毎年八月十五日に行われる「法楽(ほうらく)踊り」。室町時代から続く伝統行事といわれ、現在は広島県の無形民俗文化財に指定されている。

 村上水軍が出陣の際に舞ったのが始まりとされ、かつては水軍の拠点があった周辺の島々でも広く行われていたらしい。

 それが今ではこの椋浦と、近隣のもう一つの集落で行われるだけになってしまった。

 椋浦も海と山に囲われたいわば孤絶した土地だ。おそらくそうした地勢が時間の古層をこれまで温存してきたのだろう。

 実際、静まり返った集落で祭囃子を耳にしていると、祭りが現代によみがえったのではなく、自分の方が数百年前の世界に迷い込んだように感じられてくるから不思議なものだ。

 さて、椋浦の法楽踊りは集落の神社などで毎年行われるが、写真のように海岸で舞うのは干潮が重なった年に限られるという。

 海と人が織りなすこの貴重な風景を、ぜひとも一度目撃して欲しいものだ。

 こいけ・ひでふみ 写真家。東京生まれ。米国の高校卒業後、インドや瀬戸内などの作品を発表。今年1月、写真集「瀬戸内家族」(冬青社)を出版。ウエブサイトはhttp://www.koike.asia/

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