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【世界を読む】英語に席巻される大学 オランダで「言語自殺」論争 日本語の未来は

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【世界を読む】
英語に席巻される大学 オランダで「言語自殺」論争 日本語の未来は

オランダの大学で英語による講義が急増し、自国語軽視との批判が高まっている。写真はアムステルダム中心部(ロイター) オランダの大学で英語による講義が急増し、自国語軽視との批判が高まっている。写真はアムステルダム中心部(ロイター)

 幕末、緒方洪庵が大阪に開いた適塾に蘭和辞書は1冊しかなかった。福沢諭吉ら塾生が奪い合うように使う「辞書部屋」は、明かりが消えることがなかったという。日本の開国と近代化はオランダ語で始まった。時代が移ったいま、英語が席巻するオランダの大学で自国語軽視との批判が高まっている。「言語自殺だ」との厳しい声も。英語という黒船を前に「言語開国」はいかにあるべきか-。(坂本英彰)

 「言語としてのオランダ語の質を守り維持することに失敗し、英語の重要性を過剰に評価している」

 オランダ王立芸術科学アカデミーは、2月に出した報告書で同国の言語政策を手厳しく批判した。AFP通信(電子版)が伝えた。同国教育省の報道官よると、オランダ語で行われる講義は学士課程で65%、修士課程ではわずか15%だという。

 学術レベルがあがるほど自国語の扱いが悪くなる状況は、アカデミーとして看過できないようだ。

「オランダ語はキャンパスから消えつつある」

 背景にあるのは留学生の獲得という世界的な大学間競争だ。世界大学ランキングの普及などで「国際化」は数値ではかられる。英語の導入率も重要な指標だ。

 留学生は大学財政を潤し、有能な学生が集まれば評価も高まる。英語教育に力を入れてきたことや言語的な近接性から、非英語圏ながらオランダは国民の9割が英語を話すといわれ、もともと英語への抵抗は少なかった。しかし近年は過度な英語への傾斜は弊害も大きいとして批判も強い。

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