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【虎のソナタ】熱いモノこみあげる松阪の30球 球宴になると思い出す〝ソノ時〟

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【虎のソナタ】
熱いモノこみあげる松阪の30球 球宴になると思い出す〝ソノ時〟

全セの記念撮影で並ぶ広島・緒方監督と金本監督(前列右から) 全セの記念撮影で並ぶ広島・緒方監督と金本監督(前列右から)

1日80本のヘビースモーカー。禁酒。こんな体調なのに「ファンは俺をトップに選んでくれたんや…」と江夏は身震いするほど感激し、甲子園の誰もいない通路で筆者に「今まで誰もやってへんことはなんや?」と尋ねた。“どうせ出来ない”と腹のなかでせせら笑いながら「そりゃ9人全部三振にとることサ」と言ったら、彼はコトもなげに「ほなソレいこ!」と言ったのだ。

 そして7月17日の西宮球場で当時のセ・リーグ会長鈴木竜二が「もう2度と起こらないこと」と評した江夏豊の阿修羅の「9連続三振」-。

 その9人目の打者は当時阪急の強打者加藤秀司で、カウント1-2から江夏は迷わず「最もストレートに強い」といわれた打者にど真ん中の速球を選んだ。加藤のバットは空を切った。この時、作新学院高の1年生投手が江川卓。翌年、栃木予選で「完全試合」をやって注目されるのだ。

 江夏の快挙から13年後の84年7月24日、ナゴヤ球場での球宴第3戦に、29歳の江川は右肩痛をかかえながら2番手として四回から登板し、福本から阪急勢を、五回は落合、石毛…そして六回に9人目の打者として近鉄大石大二郎…。騒然たる中で0-2と追い込んでから彼が選んだのはカーブ。それもワンバウンドになりそうな…大石の打球は二ゴロとなった。

 あの時、速球だったら「僕は三振していた」と大石。江川は少し苦笑いして「ワンバウンドのカーブで振り逃げとなったら次の打者を三振で『連続10三振』じゃないですか…」と言った。

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