産経WEST

【午後のつぶやき 大崎善生】大金が飛び交う日

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【午後のつぶやき 大崎善生】
大金が飛び交う日

 「せっかく来たのだから」と社長が言い出した。「何番の馬を5千万まで出しますので、手をあげてみたらいかがですか?」

 シャンパンで気が大きくなっている。もちろん私は「はい」。見るだけでも面白いのだがやっぱり参加しなければ。2千万円から始まったセリは活発に声がかかり、3500万円のときに私は手を上げた。一瞬だったがいい気分。値は次々と上がりそして6千万円。約束の値は過ぎていたが、どういうわけか私は手を上げてしまった。通る。心臓がどきっとする。社長が「あれっ?」という目で私を見るが、私のサインは通ってしまった。6千万が6千円に思えたのである。そこで掛け声が止まる。何だか急に胸がどきどきしてきた。シャンパンの酔いもさめ、凍り付いたような時間が流れる。もういいや、と開き直った頃、会場の裏手から声がかかった。6100万。そしてこの馬はそのまま落札されてしまったのだった。外に出てみんなでパラソルの下にヘナヘナと座り込んだ。

 そんな戦いが今年も始まり、9日には1日でなんと96億円売り上げたという。     (作家)

「産経WEST」のランキング