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【西論】神戸市教委いじめメモ隠蔽 「子供第一」教育者の原点に返れ

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【西論】
神戸市教委いじめメモ隠蔽 「子供第一」教育者の原点に返れ

調査メモをめぐる経緯 調査メモをめぐる経緯

 神戸市で平成28年10月に市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、いじめの内容を記した生徒への聞き取り調査メモが、神戸市教育委員会の首席指導主事の指示で隠蔽(いんぺい)されたことが判明した。その後の調査で市教委が遺族に取り続けた不誠実な対応の数々が明らかになっている。メモの存在を知った前教育長が対応を放置したほか、メモを基に市教委が作成した別の文書も遺族に隠蔽した疑いがある。

 子供の自殺という痛ましい出来事を前に、学校や教育委員会が本来考えなければならないのは「なぜ生徒の命を救えなかったのか」ということだ。自殺後の遺族対応での市教委の言動からは、生徒の命が失われたことについて教育現場の受け止めの軽さが透けてみえると言わざるを得ない。改めて教育者の自覚と責任を考えてみたい。

 ◆遺族抜きの調査

 生徒の自殺後に行われた市教委や学校の調査では、意向を最も尊重されるべき遺族は蚊帳の外に置かれ続けた。市教委は自殺から2週間後の10月20日に有識者でつくる第三者委員会を設置したが、その存在は遺族に伏せられた。学校が同級生6人に聞き取り調査を行った事実も伝えられず、遺族が自ら同級生に話を聞くしかなかった。

 遺族は少しでも自殺の背景を知りたいと、市教委に聞き取り調査の情報提供を求めたが、首席指導主事は当時の校長に「記録として残していない」と回答するよう指示。「出せば事務作業が増え、第三者委の報告書完成にも支障が出る」というのが理由だった。直後の神戸地裁の証拠保全手続きに対してもメモは隠され、第三者委が昨年8月にまとめた調査報告書では、メモは「破棄されていた」と記載された。

 結局、いじめについての説明が遺族にされたのは、自殺から約10カ月後のこの報告書が初めてだった。学校のアンケートでは当初から仲間はずれ、容姿への中傷、廊下での足の引っかけなど、いじめについての証言があった。個人情報への配慮は必要だが、認定されたいじめの事実はできるだけ早く遺族に伝えるべきではなかったのか。「市教委はいじめを隠そうとしている」との遺族の怒りは理解できる。

 ◆守るべきものは

 「隠蔽の背景に教育委員会の組織風土がある」。神戸市の久元喜造市長は6月14日の定例会見で指摘した。隠蔽は首席指導主事の独断とされたが、1年以上も発覚しなかったのは市教委の「組織」に責任があるのは明らかだ。

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