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【夕焼けエッセー】希望ナンバー

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【夕焼けエッセー】
希望ナンバー

 車に自分の好きなナンバーを付けることができるようになって久しい。道行く車のナンバーを観察すると、3333や777など同じ数字を並べたものが結構目に付く。人気の高いのは、1、3、5、7、8の羅列で、これらは希望者が多いため抽選となるらしい。それ以外に1234や5678のように数字を順に並べたものもよく見かける。

 一方、結婚記念日や誕生日の日付をナンバーにする人もいる。私の周囲にも何人かいる。ただし、これはその日付を知っている人にしか分からない。また、1122(いい夫婦)とか2525(にこにこ)など語呂合わせらしきナンバーを付けた車もある。

 先日、京都に住む叔母が亡くなり、葬儀に参列した。早くに夫に先立たれた叔母は、苦労の多い人生を持ち前の大らかで明るい性格で立派に生き抜いてきた。

 告別式が終わり、棺を乗せた霊柩車を先頭に、後続のマイクロバスに乗り込み、火葬場へと赴いた。火葬場は前日が友引で休みだったらしく、駐車場は何台もの霊柩車やハイヤーで混雑していた。順番が来るまで30分余り車中で待たされただろうか。そのときふと前方に止まっていた霊柩車を見ると、4444のナンバーが付いている。なるほど、こういう業種でないと、なかなか希望しないナンバーだなと感心しつつ、当方の霊柩車を見ると1059だ。こちらは普通の番号だなと思いかけて閃(ひらめ)いた。違う。これは明らかに希望ナンバーだ。なんと叔母が乗っていたのは「天国」行きの霊柩車だったのである。

足立正次(65) 奈良県天理市

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