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【西日本豪雨】ダム放流、情報周知に課題 専門家「訓練繰り返すこと重要」

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【西日本豪雨】
ダム放流、情報周知に課題 専門家「訓練繰り返すこと重要」

 西日本豪雨では、愛媛県西予(せいよ)市の肱(ひじ)川が氾濫し、逃げ遅れたとみられる人たちが犠牲になった。上流のダムが豪雨で満杯となり、放流量を急増させたことが原因の一つとみられるが、住民には十分に放流情報が届かなかった。ダムの放流で下流河川の水位が上昇し、人が流されるなどの被害は過去にも起きており、専門家は「放流に関する知識を共有し、訓練を繰り返すことが重要だ」としている。

 ダムの管理者は、大雨などでダムの水位が上昇し、貯水能力を超えそうな場合には放流量を増やして調節する。それによって下流河川の流れに大きな変化が生じるときには、上昇する水位の見込みなどを関係自治体や住民らに周知しなければならない。

 ただ、どの程度の水位変化があるときに周知するかや、周知のタイミングに統一基準はなく、各ダムの管理者が決めている。

 今回、西予市の野村ダムでは、7日未明に貯水能力の8割以上に達したため、午前6時20分にダムへの流入分と同量を放流する緊急放流を開始。放流量はそれまでの数倍に急増し、数十分後に肱川が氾濫した。

 国交省四国地方整備局のダム管理所は、緊急放流の約1時間前には、サイレンや市内アナウンスで放流による水位上昇を知らせ、市にも電話で氾濫の可能性を伝えていたとする。ただ、早朝、大雨が続く中での動きで、住民には情報が伝わりきらなかった。

 北海道大学大学院の山田朋人(ともひと)准教授(河川工学)は「一般的に、ダムの容量を超えそうなときには、ダムから水があふれ出てコントロールできなくなるのを防ぐため、流入する分と同量を放流することになっている」と話す。

 今回ほどの豪雨の際には、ダムから大量の水が河川に流されることは十分にあり得るということだが、この「一般論」を知っていた住民は、実際には少なかった。山田准教授は、同様の被害を防ぐにはまず、「ダムの仕組みなどの知識を住民の間で共有することが重要だ」とする。

 その上で、「これまで経験したことのない災害が起きている中では、全員に情報を伝えきるのは非常に難しい」と指摘。「普段から訓練を続け、その中で課題を見つけておくことが求められる」と話した。

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