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【夕焼けエッセー】落とし物拾い物

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 私はよく物をなくす。一番多いのがピアスだ。その次は日傘で、気に入ったものほどあっという間にどこかに消えてしまう。旅先のトイレで財布を置き忘れ、気がついて走ったが見事に無くなっていた。ショックだった。

 でも返ってきた物も多い。コンタクトレンズにマフラーそして雨傘など。買い物した袋をそっくりバスの座席に置き忘れた時も、そのままの状態で見つかって「助かった」と大喜びした。落とし物の発見率は60%くらいか。

 私はまた拾う側にも縁があった。デパートで一万円札を見つけ、路上で障害者手帳に会い、財布に突き当たる。いずれも警備係や交番所に届けるが、所有権放棄することを忘れない。

 最近、定期券を拾った。第一発見者はおじいさんだった。彼が道に落ちていたカードを拾い上げているところを目撃。しばし目をとめてから、近くにあったフェンスのつなぎ目にはさみ込んでいた。わざと人目につきやすいような形で。

 彼が去った後にカードを覗き込むと、15歳の男子の定期券だった。名前も書かれ有効期限もたっぷりある。私は駅に託すのが早いと判断した。老人から勝手にバトンタッチして駅員さんに届ける。発見した場所を聞かれたので、経緯を説明するとすんなり受理された。学生さんの手に戻るのは時間の問題だろう。おじいさんは知る由もないけど、持ち主が喜んでくれたら嬉しいよね。

 私はこれからも、落として拾って生きていく。

山下久美子(62) 大阪府枚方市

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