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【夕焼けエッセー】我が家の避難場所

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 6月18日、午前7時58分、大阪府北部地震が起きた。私は食事が終わり、コーヒーを飲みかけたところだったと思う。すぐにテーブルの下に入り、テーブルの脚を握った。自分でテーブルの脚を揺すっている感じだった。

 地震が収まりふと気づいた。夫が生存中にテレビで地震のニュースを見ると「まずはテーブルの下へ入る事」といつも話していた。

 「そんなに広く無いから、先に入ったもん勝ちやわ」と私は言う。

 「わしが先に入っていても、和子に押し出されそうやなあ」と夫は笑う。

 「和子、地震がきたらどうするんや」

 「テーブルの下に入ります。仲良く詰め合って入ります」

 時々、こんな会話を面白おかしく楽しんだ事が、私を咄嗟(とっさ)にテーブルの下に入らせたのだ。

 その夫は今年4月7日になくなった。1カ月の闘病生活だった。もし、夫が生きていたら、今回の地震で私達はどんな格好でテーブルの下に入っていただろうか。

 一人で暮らす生活に少しずつ落ち着きをとり戻し始めていたが、余震のたびにテーブルの下に入ると、夫との事を思い出す。4月22日は58年目の結婚記念日だった。

 夫の大好きな桃が店頭に出始めた。仏前に供えながら「地震がきても大丈夫ですよ、我が家には頑丈なテーブルの避難場所がありますから」。言いながら手を合わせている。

由井和子(80) 主婦 大阪府寝屋川市

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