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【夕焼けエッセー】うれし涙の京みやげ

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 「ただいまー」。元気な声で次男が帰宅した。

 小学校の修学旅行から帰ってきたのだ。行き先は岐阜からは昔から定番の京都、奈良。

 彼は早速兄と妹にキーホルダーやらバッジを渡しながら、「金閣寺でさぁ~」やら「若草山でさぁ~」など余(よ)程(ほど)楽しかったのだろう、興奮気味に兄妹に土産話をしている。

 話が一段落して彼は家内に家族用に購入したと生菓子と家内への土産を渡す。

 最後に私の前に来てニコニコしながら「お父さんには病気が何でも治るようにさぁ、御守買ってきたわ、一番高いの買おうと思ったけどお小遣い足りんくなりそうやったで二番目に高いやつ。ほんでも家族の中で一番高かったんやでね。絶対病気なんか吹っ飛ばしてまうんやで」と京都の神社の小さな紙袋を手渡してきた。

 「そんなん買ってこんでもいいのに」そう私が口を開こうとする前に目の前が涙の海になってしまい、言葉がつまってしまった。

 私は38歳の時、腹部が鈍痛し病院の精密検査で悪性リンパ腫が発覚した。入退院を繰り返し何とか寛解したが日々再発に怯(おび)える日々、子供たちが成人するまで生きとれるんかな、と不安な毎日を過ごしていた。

 我が子3人のなかで一番腕白(わんぱく)な次男。彼が旅行中、土産を選ぶ時も私のことを思案していたかと思うと涙が止まらなかった。

 早速、仕事で毎日持ち歩く鞄(かばん)にその御守を感謝して結びつけた。

 嬉(うれ)しい土産をもらったお父さんは、今日も元気で頑張ります。

藤田竜士(41)会社員 岐阜県山県市

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